「体」と「頭」しかなくて,「心」のない人たち
世界を分かったつもりになりたい人たちは,
X と Y とか,A と B と C に分けて納得してしまう。
世界を正しく知りたい人たちは,
X と Y の境界線とか,A と B と C のすべての要素をもっている部分に目を向けたりする。
世界をより深く知りたい人たちは,
「それ以外の要素」を探そうとする。
知徳体というが,これらは「別々のもの」ではない。
お互いに,様々な影響を及ぼし合っている。
知を何かの教科で,徳を道徳で,体を体育で,などという発想では,
教育は成り立たない。
ただ,そういう「納得しやすい世界」が,どんどん社会を浸食している。
うちの担任は,運動が苦手だから,子どもたちが体育が苦手になる。
分かったような感じがする「論理」(でも何でもないが)である。
知を徳や体の見地から考える。
徳を知や体の見地から考える。
体を知や徳の見地から考える。
こういう「思考」の訓練が落ち着いた環境でできるのは,学校だけである。
先日,戦時中の女学生が特攻兵に綴った手紙,その返信の手紙を,
本人が改めて「感動」しながら紹介する映像を授業で使った。
何にどのように「感動」することが,どのような「問題」を引き起こすか,
「考える」ことができなかったことが,「おろかなことだった」と語る人もいた。
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