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高校入試とマークシート

 高校の教師にとって最も面倒くさい仕事が,入試の採点業務だろう。

 間違ってはならないというプレッシャーがかかる。

 しかし,定期テストの返却場面を思い出せる人なら,だれでもわかる。

 教師は,「採点間違い」を犯すものなのだ。

 だから,入試ではダブルチェック,トリプルチェックをかけないといけないので手間も時間もかかる。

 記号の問題などは,そもそも受験生の「個性」が見えないから,

 採点のやりがいもない。

 そこで,「マークシート導入」という案が浮上するのだが,

 これは「不祥事で謝るのが嫌い」な「事務の人」の発想である。

 教育公務員ではなく,ただ「間違いを犯すことをひたすら怖がる」公務員の発想である。

 
 高校入試なら,

 中学校の学習指導要領に合わせて問題をつくる。

 学習指導要領が改訂された趣旨を読むだけで,

 「マークシート導入」があり得ないことがわかるはずである。

 そもそも,高校の教師の採点間違いよりも,

 中学生のマークシートの塗り間違いの方が頻繁に起こるだろう。

 「マークシートで測れる学力」がいかに偏っているかは,

 センター試験の問題を見れば一目瞭然である。

 学力向上が果たせない「都道府県」の問題は,

 そもそも「そういう発想をしてしまう」行政の人間に象徴されている。

 困るのは,そういう自治体に引きずられて

 「右へならえ」をする

 同じように「学力向上が果たせない県」が増加することである。

 水は低い方に流れる。

 「効率化」を最優先することによって,

 この国からやがて「使命感」「責任感」という言葉は死語になっていくのだろう。


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宮城谷昌光の言葉

  • 雲のうえに頂をもつ高山を登ろうとするのに、その山相のすさまじさに圧倒され、おじけづいていては何もはじまらない。最初の一歩を踏み出さねば、山頂は近づいてこない。
    「楽毅」第四巻より
  • みごとなものだ。斂(おさ)めるところは斂め、棄てるところは棄てている。楽氏が棄てたところに、われわれの生きる道がある。
    「楽毅」第四巻より
  • 去ってゆく千里の馬を追っても、とても追いつかぬぞ。千里の馬の尾をつかむには、その脚が停まったときしかない
    「楽毅」第四巻より
  • ・・・つくづく人のふしぎさを感じた。道を歩く者は、足もとの石をたしかめようとしないということである。千里のかなたを照らす宝石がころがっていても、気がつかない。それほどの名宝は深山幽谷に踏みこまなければ得られないとおもいこんでいる。
    「楽毅」第三巻より
  • この城をもっとたやすく落とすべきであった。たやすく得たものは、たやすく手放せる。
    「楽毅」第二巻より
  • なにかを信じつづけることはむずかしい。それより、信じつづけたことをやめるほうが、さらにむずかしい。
    「楽毅」第二巻より
  • からだで、皮膚で、感じるところに自身をおくことをせず、頭で判断したことに自身を縛りつけておくのは、賢明ではなく、むしろ怠慢なのではないか
    「楽毅」第二巻より
  • こうする、ああする、といちいち目的と行動とを配下におしえつづけてゆけば、配下はただ命令を待つだけで、思考をしなくなる。この四人はいつなんどき多数の兵を指揮することになるかもしれず、そのときにそなえて自立した思考力をもつ必要がある。
    「楽毅」第二巻より
  • 人は自分の存在を最小にすることによって最大を得ることができる
    「楽毅」第三巻より
  • 勇と智とをあわせもっている者は、攻めるときよりも退くときに、なにかをなすときより、なにもなさないときに、その良質をあらわす
    「楽毅」第二巻より