高校入試とマークシート
高校の教師にとって最も面倒くさい仕事が,入試の採点業務だろう。
間違ってはならないというプレッシャーがかかる。
しかし,定期テストの返却場面を思い出せる人なら,だれでもわかる。
教師は,「採点間違い」を犯すものなのだ。
だから,入試ではダブルチェック,トリプルチェックをかけないといけないので手間も時間もかかる。
記号の問題などは,そもそも受験生の「個性」が見えないから,
採点のやりがいもない。
そこで,「マークシート導入」という案が浮上するのだが,
これは「不祥事で謝るのが嫌い」な「事務の人」の発想である。
教育公務員ではなく,ただ「間違いを犯すことをひたすら怖がる」公務員の発想である。
高校入試なら,
中学校の学習指導要領に合わせて問題をつくる。
学習指導要領が改訂された趣旨を読むだけで,
「マークシート導入」があり得ないことがわかるはずである。
そもそも,高校の教師の採点間違いよりも,
中学生のマークシートの塗り間違いの方が頻繁に起こるだろう。
「マークシートで測れる学力」がいかに偏っているかは,
センター試験の問題を見れば一目瞭然である。
学力向上が果たせない「都道府県」の問題は,
そもそも「そういう発想をしてしまう」行政の人間に象徴されている。
困るのは,そういう自治体に引きずられて
「右へならえ」をする
同じように「学力向上が果たせない県」が増加することである。
水は低い方に流れる。
「効率化」を最優先することによって,
この国からやがて「使命感」「責任感」という言葉は死語になっていくのだろう。
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