なぜ下手くそな道徳指導を行う教師がバカにされるか?
ヒーローインタビューで感想を聞かれた選手が,
「ファンの方の声援のおかげです」とか「まぐれです」と答えるのは,
「そういう答え方が正しい」ことを知っているからである。
ファンが喜ぶことを知っているからである。
みんな,そう答えるからである。
選手は,テレビ用の,マスコミ用の「言葉」を「教育」されている。
謙遜する選手を見て,
「すごい」「すばらしい」「本物だ」
と感じるのは,ごくごく自然なことである。
そう感じてもらえるように,話すようにしているからである。
もちろん,本心から言えるまでに「成長」している選手もいるだろう。
選手にとっては,本心では,いろいろ言いたい「本当のこと」はあるだろうが,
再度対戦する相手に聞かられたらまずい「企業秘密」もある。
いたずらに相手の「闘争心」をかきたてるような「損」をしないように,という配慮もある。
下手くそな道徳の指導というのは,
大人だけでなく,子どもでもわかるような
「公の言葉」がすごい,すごい,と感動してみせて,
「こういう態度を学ぼう」などというわざとらしい教え方のことを言う。
教師が学ばせたのは,「本心ではなく,人が喜ぶ言葉を発しよう」という態度である。
中には,本当に感動してしまっている教師がいて,
ある意味,純粋で憎めないのだが,子どもからは確実にバカにされる。
子どもが理解している
「こういう態度」とは,
「公に向けては謙遜してみせる」という態度である。
こういう教育は,
「オモテの顔」と「ウラの顔」を使い分ける子どもを作り出していく。
そういう子どもをたくさん見てきたのと,
「反省文」などで「思考回路」が「見える化」されているから,よく分かる。
教師には,教師が聞くと喜びそうなことを言ったり書いたりすることができるが,
そこに書かれているような態度や行動をとることができない。
もちろん,「公の場で言うべきこと」を知っていてくれるのは助かるが,
それだけですまされてしまう「道徳の授業」からは何とか卒業していただきたい。
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