退職後のための人脈づくりより,今の自分の能力を最大限に伸ばすことが優先
もしあなたが教育に情熱をかける教師だったら,退職後の自分の生活のことなど考えるだろうか。
退職金は減額の傾向が強まるだろうから,たしかに心配かもしれない。だが,もらえないよりましである。
退職後の自分のことより,何よりも今,目の前にいる子どものことを精一杯,考えるべきである。
そのために必要な人脈とは何か?
「自分のための人脈」ではなく,「子どもによりよい教育をするための人脈」づくりが必要なのだ。
まずは,今,一緒に仕事をしている学校の教員,学年,分掌の教員たちとの絆を深めることである。
小学校では,「学級」という孤立傾向の強い小規模事業所が仕事の中心なので,なかなか難しいことかもしれないが,授業の悩みを正直に打ち明けられる教師を近くに持つべきである。
管理職は,そういう教員間の関係を築けるように,さまざまな支援をするべきである。
小学校で教育に熱心な教師は,よく本を買い,研究会に参加する。
そこまではすばらしいが,
残念なことは,こういう教師同士のつながりが乏しいことである。
研究会に参加して,発言できる教師はごくわずかである。
研究会後,小グループに分かれて飲み屋に繰り出して,授業論をたたかわせることができる教師はどれだけいるだろう。
中学校の研究会の風景を見ていると,参加者どうしの会話が多い。
さまざまな情報交換をそこで行っている。
小学校ではこれが少ない。
個人競技しかないスポーツと,団体競技のスポーツの選手の違いと言えばわかりやすいだろうか。
これが,小学校と中学校の学校風土の違いである。
小学校は,個人プレーで成立する。(だから,個人の力不足で簡単に崩壊する)
中学校は,個人プレーだけでは成立しない。(だから,組織で動かざるを得ない)
小学校の教員が中学校でも勤務するようになることが,人が少ない地方ではときどきあるようである。
そういうところでは,容易に文化の違いを体感することができるだろう。
人は人,自分は自分,という感覚を持ちやすい自分を認識することができる人は,
一緒に教育の問題を真剣に議論し合える仲間をつくるのがいい。
愚痴を言い合うような仲間ではダメである。
そんな教師は組織には必要ない。
改善意見を堂々と発言できるような,度胸をすえるべきである。
そのためには,失敗したとき,次の策をすぐに講じるよう一緒に動いてくれる仲間が必要である。
教師には,「折れている」暇はない。
子どもは,毎日毎日,確実に成長する。
そして,一部の学校では,子どもは,毎日毎日,問題を起こす。
それに対処する「情熱」が続いているうちは,一生,教師でいてほしい。
定年制度はいらない。
本当の意味の教育への「情熱」がない教師は,1年目でも2年目でも,辞めるべきである。
「制度」というのは,ある意味で,教育を守るためのものだが,
破壊する原因にもなるものである。
採用時に,年齢を聞いてはいけない,というきまりをもつ国は,うらやましいものである。
年齢ではない。
大事なのは能力とやる気である。
能力に結びついた経験は必要であるが,
手を抜くこと,ごまかすこと,人のせいにすることが体得できてしまうような「経験」は,
教育にとって邪魔なだけである。
ボランティアで学校現場に協力してくれる退職者はどのくらいいるだろうか?
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