テレビを見ても,国民は「ハクチ」化しなかった
国民をバカにできる人は,国民にバカにされる。
ウィキペディアには,語義だけでなくそれにまつわるエピソードが綴られているものがあるので読み物としてもおもしろい。
社会評論家の大宅壮一が生み出した「一億総白痴化」という流行語がある。
これは,テレビというメディアは非常に低俗なものであり,テレビばかり見ていると,人間の想像力や思考力を低下させてしまう,という意味合いの言葉であり,もとは「一億白痴化運動」というものだった(『週刊東京』1957年2月2日)。
大宅壮一が批判したかったのは,国民ではなく,低俗な番組を垂れ流しするテレビである。
テレビに出ていながら,国民の方をバカにした政治家がいた。
民主党の菅直人議員(当時)である。
田原総一朗の討論番組『朝まで生テレビ』の中で,菅直人は「一億白痴化」の話を出した。
田原総一朗が「(国民は白痴に)なってないよ」と反論すると,
菅直人は「(国民が白痴化したからこそ)だから自民党が(前年の郵政選挙で)勝ったんじゃないですか。」
と自論を展開。
これに対する田原総一朗の返しも痛烈である。
「じゃあこないだの参議院選挙で民主党は勝った。あれは国民が馬鹿だから勝ったのかい? こういう馬鹿な奴が居るから民主党は駄目なんだ!」
田原総一朗は,すべてを見抜いていたわけである。
人の褌で相撲をとる人間は,
人をバカにするとき,他人の言葉を借りてくる。
ただ人をバカにしたいためだけに借りてくるものだから,
>情報を客観的に捉える能力
は活用されていない。
自分には責任がないかのような態度をとる。
外国人なら,日本人をバカにしたい気持ちはわからないでもない。
>指揮者は大勢の音を選択的に聴く訓練をしていると同時に、全体を客観的に聴く訓練もしている。
耳だけ鍛えても,頭を鍛えなければ,まともな作文はできない,ということを教えてくれている。
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