批判の相手は,コンピュータでなく,人間である
教師の中には,自分が批判されていることに気づけない人がいる。
これは正真正銘の「才能」に近い能力で,本人は頑強な
「壁」
で守られているのである。
年度当初の時間割作成には,私も何度かかかわってきた。
当然,ソフトウェアを使う。
しかし,完全にはコマは埋まらない。
人間の手作業で最後のコマまで埋めなければならない。
条件がきつすぎることで,物理的に時間割が組めないことがある。
この場合は,かなりの数の条件を,いくつかのランクに分けてもらい,調整する必要が出てくる。
ある教師にとっては何でもない条件も,
気難しい教師にとっては,重大問題である。
だから,一律にこなすべき仕事だが,実際には,
先生方に納得してもらえるような「根回し」が必要になる。
この「根回し」が下手な人間だと,あとで「恨み」を買うことになる。
自分が批判されていることがわからない人間というのは,
自分の仕事の「正しさ」が絶対なのである。
すべて相手の方が間違っている,相手が悪い,というのが前提の「知能」をもっている。
全否定か全肯定なのである。
だから,アレが「つくりもの」「妄想の産物」であることがすぐにばれてしまうのだ。
こういう人間にとっては,
ある先生にとっての「1時間目に授業を入れないでほしい」という要望は,
別の先生から同じような要望があっても,「同じ要望」になってしまうのだ。
「同じ要望」でも,「違う」のだ。
それが,個性なのだ。
なくすべき個性だが,あるのだから仕方がない。
こうした問題は,私も経験者だからわかるが,
時間割はコンピュータではなく,人間の作業として行っているものだ,
という重要な「事実」をわかってもらう努力を怠るべきではない。
「お前が仕事をしているから気に入らないのだ」と直接的に言ってくるほど,教員も非常識ではない。
時間割作成の苦労は,普通の人間ならわかるものである。
「冷たい」と批判されているのがコンピュータではなく,それを使っている人間だということに気づけるような「知性」がほしい。
たとえコンピュータを使おうが,仕事に人間性を感じさせるのが教師の重要な資質である。
それが自らに欠けていることをなぜわざわざ公にしたがる人間がいるのかがわからない。
自分自身の「ナントカの壁」にもっと早く気づくべきである。
しかし,二度と同じような「失敗」をしないですむような教訓がもらえる,という点では,
極めて「教育力」のある情報である。
心から感謝したい。
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