できる子もできない子も気に入らない
小学校で「とてもいい学級で,何の問題も起こったことがない」なんていうクラスから中学校に進学してきた子どもは,決まって大きな問題を起こしてくれます。
わかりやすい例は,
「問題を起こさないようにしよう」という,変わったスローガンで学級経営されていたクラスの子ども。
「問題を起こす」子どもがいるとクラス目標が達成されませんから,徹底的にたたかれます。
我慢に我慢を重ねてきた子どもたちは,中学校で一斉にストレスを発散し出します。
経験のある中学校教師は,事情がわかっていますから,
別の方法での「ストレス発散」の道を教えたりしているうちに,
いつの間にか子どもは落ち着いていきます。
これを中学校でさらに蓋をしようとすると,非行や問題行動の爆発力が増してしまう。
間抜けな小学校教師が,
「小学校時代にはあんなに落ち着いていたいい子どもたちが」
などと言い始めるのを想像しながら,
「言いたいことが言えない超閉鎖空間からの脱出おめでとう」
の気持ちで子どもに接していくと,
やがて小学校教師へのストレートな不満も聞くことができて,次々に「収穫物」が増していくのです。
このあたりのコントロールというか駆け引きは,小学校のことがわかっていればいるほどやりやすくなるのですが,初心者では難しいですね。
中学校の教師は,近隣の小学校の運動会に1時間だけ参観に行くべきです。
だいたい1時間で状況がつかめます。
原因と結果の関係を理解するためには,とっても大切な情報があるのです。
今日は,集まった親戚の方から,またつらい小学校時代のいじめの話を聞きました。
いじめの対象は担任の教師で,その仲間に加わらないといじめの対象になる,という,
崩壊学級の話です。
どう考えても,「この人に責任を負わせるのは無理だ」という学級担任がいる。
公立の小学校では,こういう問題への解決の方法がなかったのですね。
新しいところでは,とにかく何でも「平等」でないと気がすまない先生の話。
なぜか,「結果の平等」にこだわる。
だから,「できる子」と「できない子」がうざったくて仕方がないらしい。
生活や行動だけでなく,学力まで「みんな同じ」であることを理想とするようなクラスにおける
同調性圧力の質は,想像の域を超えていました。
「均一性圧力」がかかる学級の教育というのは,どんな結果を生んでいるのでしょう。
最近はやっている「評価」の話を聞いても,
「品質を一定にする」
という製造業の発想で,何だか話を聞いているのもムカムカするような研究だったりする。
おそらく今まで,「個性」「個性」と言いながら,だれもその意味を理解しないで教育をしていたようです。
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