「体罰の調査」という間抜けな指示
「あなたの自治体では,法律違反がどのような頻度で,何回くらい行われていますか?」
という「アンケート調査」あるいは「電話調査」を各教育委員会事務局がすることになるらしい。
下村文科大臣が本当に言い出したのかどうかわからないが,
国会などで「実態はどうなっているのだ」
という質問が出されれば,
調査をしてから答えることになる。
一般市民からみても当たり前のように思えることだろうが,
実態はそんな方法ではつかめない。
嘘をつかれて終わりである。
「回数を聞かれても,多すぎてわからない」という人もいるだろう。
官僚をみんな集めて,自分の中学校時代のことを思い出させてみてはどうか。
自分が体罰を受けた経験がある人は,官僚には少ないかもしれないが。
実際に受けたことがある人は,教師の名前を忘れてはいないだろう。
名前もわからない教師に殴られるほど,公立学校は落ちぶれてはいまい。
実態の解明は,進まない。
だからそのうち,
「いじめ相談電話」のような
「体罰相談電話」が設立される。
その結果,体罰によって子どもとの信頼関係を築いている教師の話は一切聞かれず,
子どもとのコミュニケーション能力がない教師が標的となる。
「体罰の実態調査」をして,
何がわかるか?
「信頼されている教師の体罰は許されている」
「体罰をした後のフォローがうまい」
「スポーツの世界では,活を入れるという目的で体罰が行われる」
それがわかっておしまいか?
それとも,
本格的に「狩り」を行うつもりだろうか?
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