下村博文・文科大臣に即刻,実現してもらいたいこと
それは,このブログではたびたびふれている,
労多くして益なしの「観点別学習状況の評価」である。
これが,教師の指導力の低下と子どもの学力低下を招いている元凶の一つである。
高校の教師にとってはバカバカしくて,やっていられない「制度」の代表がこれ。
でも,やらなければならないから,「適正にやっていることにしている」のがこれ。
未履修問題との違いは,「やってない」わけではないこと。
しかし,その趣旨通りに「やっている」かどうかはわからない。
いろいろな問題があるが,中学校や小学校の教師は,これにまじめに取り組もうとしている。
そして,テストが100点なのに,成績が5じゃなくて4なのはなぜか?という保護者の苦情に,真面目に対応している。
だれも,テストの質を問おうとはしない。
授業の質を問おうとはしない。
その評価の根拠を問おうとはしない。
なぜか。
それは現場の教師なら知っている。
観点別学習状況の評価をするためには,
その評価を実施する意味があるような指導が実現されていなければならない。
たとえば,子どもが「知識・技能を活用して,思考し,判断し,表現する」場面がなければならない。
そんな授業が全く行われていないのに,評価が行われている。
思考力・判断力・表現力を問う場面がないのに,どうして妥当な評価ができるというのか。
日本には,暗黙の了解で,「ちゃんとやっていることにしていること」が多すぎる。
即刻なくすべきである。
では,どうするか。
教師がどういう指導をしたかをきちんと管理する必要があるのだ。
小学校では,「週案」のチェックを管理職が行っている。
中学校では,どうか。そもそも,中学校や高校には,「週案」式の記録はなじまない。
こういう問題もある。
学校における授業の改善策など,作文ができる人にさせても,何の意味もない。
一人一人の教員の指導力の問題である。
私の学校には,全教科ではないが,「モニタリング」の仕組みがある。
教師の指導力が,そのまま記録に残る仕組みの確立を急がなければならない。
そういうことがすんでから,
観点別学習状況の評価を,
指導の過程で行うのなら,わかる。
今はそれを,総括の評価にも使っている。
練習も本番もない,「評価」がんじがらめの学習指導に,子どもはNOをつきつけている。
こういう現場の問題を,塾の経営者だった下村大臣は,痛いほどよくわかっておられると思う。
英断が下されることを期待したい。
事務方にだまされないでほしい。
丸め込まれないでほしい。
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