いじめ対策の一つ ~無神経な言葉を使う人間を減らす~
いじめが導く悲惨な結末は,いじめられた当事者,いじめた人間たち,それを見ていた人間たち,学校の場合は教師たち・・・・・さまざまな「関係者」のコミュニケーションの不具合によってもたらされることに,多くの人たちは気づいているはずです。
だから,「いじめはガンのようなものだ」という無神経な「たとえ」をし出すような人間がいれば,怒りを覚えて当然でしょう。
「たとえ」というのは,同じような経験や知識を共有する者同士なら,コミュニケーションの道具として有効に作用するはずですが,
他人のブログを「公衆トイレ」にたとえたり,
いじめを「癌」にたとえたりするのは,
同じ経験や知識を共有する者すら遠ざけてしまう,それこそ無神経な心が生み出す「排泄物」にすぎません。
癌にかかると,決然と癌と闘う人もいますが,多くの人は「絶望」にかられ,ごく一部の人は,自ら死を選ぶようになってしまいます。
「いじめはガンと同じようなもの」とは,これを指しているのでしょうか?
今,いじめを受けて苦しんでいる子どもたちに,「いじめはガンのようなものだ」という声をかけて,救うことができるのでしょうか?
今,いじめを受けて苦しんでいる子どもがたちが読んだら,どう思うと,受け止めているのでしょうか。
キハクなら,何という言葉を自分にかけてくる,と想像できるでしょうか。
それがわからないのなら,全集が気の毒です。決して粗大ゴミにはしないでいただきたい。
「いじめを受けている子どもを救うつもりで言ったわけではない」・・・・ということでもないのは,
そのほかの言葉でわかりました。
しかし,たとえのセンスが醜悪すぎる。
いじめを考える上で非常に重要な,「いじめる側」や「傍観者」の存在がそこには見当たらない。
このように,たとえのセンスが悪すぎることを指摘しても,「たとえが理解できないやつは頭がおかしい」「知能の限界」とくる。
人間のロボット化。そうです。コンピュータの前に長く座っていることで,感情や感性を失っていく。
感情や感性を失っていくのは,楽器を演奏しているから,ではないことは私でもわかります。
感情や感性に飢えているから,楽器を演奏する,という想像はできるのですが。
子育てにしろ,学校現場における教育にしろ,感性に欠ける指導というのは,ろくな結果にならない。
教師の言動がいじめを助長することがある,という報告は,今まで幾度となく出されてきたはずです。
それが,いつまでたってもなくならない。
教師が語っている言葉をしっかりと見つめ直してみる。
子どもだけのせいにしない。
これが,重要ないじめ対策の一つです。
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