「穴埋め」で点数をとってきた人が,「穴に埋めてきたもの」とは?
実践を同じブログ村でご紹介させてもらっているので,ご存じの方がいらっしゃるかもしれませんが,私の専門は社会科教育です。
今,学校現場では,「穴埋めプリント授業」が大手を振ってまかり通っています。
「穴埋めプリント授業」が「悪者」?と怪訝に思われる方がいらっしゃったとしたら,おそらくその方は「社会科」の授業を受けた経験がないのでしょう。
「社会科」とは何のために存在する教科なのか,どんな内容を教えることになっているのか,冊子なら167円で購入して読んでいただくことが可能です。
プリントに空欄があって,そこに「重要語句」を入れていけば授業に参加したことになる,そんな方法で社会科の目標が達成されるとは,その冊子には書いてありません。
しかし,教師にとっては,準備は楽だし,生徒も頭を使わないですむので楽だし,穴埋めさえ完成すれば,授業に参加した気になるし,寝てさえいなければ,授業が終わった後,みんな同じ「成果物」を残すことができ,試験のときにはその穴埋めの延長のようなことをやっていれば,ただ覚えるだけで社会科の点がとれるようになり,「社会科が得意」になる・・・・そういう「仕組み」になってしまっています。
そして,どんな「社会人」が生まれているか。
「穴埋め」・・・・本当に象徴的な言葉です。
才能を,可能性を,能力向上のチャンスを,すべて「穴に埋め続けてきた」人たち。
「試験が終わったら,みんな忘れました」とあっけらかんとしている大人たち。
これを「受験の弊害」と言っていられるのは外部の人間だけで,
当事者としての教師たちは,もっと「授業で鍛える」ことをしなければ・・・・。
こういう「問題」の指摘を「授業をしていない人」に認めない人間ばかりだと,教師はラクですね。
中学生がそれを指摘できるようにする仕組みを今,考えています。
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