現場に出て,驚くこと ~そんな「いじめ対策」があるの?~
初めて教育現場に身を置くようになった方々が,まず驚くのは,
「どうしてこんなに『わかっていない』教師たちが多いのだろう」
ということでしょう。
採用までの苦労を考えると,何だか馬鹿らしくなる・・・・そう感じる一瞬は,一度くらいは必ず訪れるでしょうね。
『わかっていない』だけなら,まだ「見すごせる」のですが,
『見当違い』のことを言い出したり,やり出したりする教師,そして,そうこう言動への批判にいっさい耳をかさない教師もいます。
管理職は,もう「そういう人間だ」ということは承知しているので,見て見ぬふりをしている。
そういう教師への「指導」は,「主幹の仕事」だから・・・・。管理職にとっては,都合の良いポストができたものです。
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教育の仕事というのは,本当に難しいのです。
偉そうなことを言っていても,自分では全く実践できずに,子どもに馬鹿にされているだけの人もいる。
本当に仕事もできず,何を考えているのかわからないのに,子どもには慕われている人がいる。
「教育って,よくわからない」・・・そのように悩むのが,「教師の仕事」だと思えば,
あとは少しでも多くの教師とタッグを組んで,自分たちにできることを実践していく,それがすべてです。
たとえば,「いじめ対策」。
「いじめ対策」というのは,本来,学校が教育の目標に掲げていることを,今まで以上にきめ細かく,今まで以上に,教員のチームワークを最大限に発揮して,子どもに向き合う,・・・・現場は,それが一番なのです。
「いじめ対策」の専門家を呼んで,研修でお話を聞く。
悪いことではありませんが,その研修中に,いじめが起こっていたら,本末転倒です。
研修は,子どもが学校にいないとき・・・・たとえば夏季と冬季の休業期間中のようなタイミングで行うべきです。
こんな当たり前のことをせずに,「うちはいじめ対策に力を入れている」なんて言えません。
「いじめ対策」は,「本来,教師が,やるべきことをやる」・・・・それが一番・・・というか,それしかないのです。
以下のような「提言?」をしている教育ブログがありました。
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全国の小中高校生全員に,携帯型のいじめ通報装置を配付する。これは,いじめを受けた時にボタンを押せば(いじめの定義にしたがえば,いじめられたと感じた時はいつでも押してよい)
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ボタンを押したら,どうなるって? どこかの機関の人間が飛んできてくれるそうです・・・。
こういうアイデアを,学級会で子どもが思いつきで提案したとしても,即座に異論が出されてつぶされるだけでしょう。
「無視を受けている人は,『無視された』と思ったときに,毎回,ボタンを押すのですか?」
「通報装置は常に手にもって行動するのですか?」
「いじめられている人が,本当にそんなボタンを押すでしょうか?」
「遊び半分で押してしまう人がいるのではないでしょうか?」
「友達の通報ボタンを押す,といういじめが始まるのではないでしょうか?」
「もしなくしたら,再発行してくれるのでしょうか?」
「先生に体罰を受けたときとか,先生に無視されたりしたときも押せるのですか?」
「こんなことを思いつく人って,本当にいじめのことがわかっているのでしょうか?」
「賛成している先生方が多いそうですよ!」
「・・・・・・・だから,この学校はいじめが多いんだね・・・・・・」
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コメント
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記事で紹介したようなおかしな提言をするのは,現場の人間ではないことを祈るのみです。
投稿: kurazoh | 2012/09/14 01:21
間違った分析による間違った明後日の対策の典型的なお話ですね、でもとてもありがちなことだと思います。
すべてはイジメられている子が行動すれば解決すると言う身勝手な思い込みに起因しています。
その真相心理にイジメる側の問題と向き合う自信の無さにあると考えられます。
無意識に厄介な問題を回避しているのです。
イジメはイジメる側の心の問題です。
必ず加害者の怒りや悲しみから弱い子や反撃しない優しい子に向けられ加害者が向き合えないジレンマを発散する事で自分を保つのです。
早い段階で対処しておかないと良心が欠落した人になってしまいます。
また、保身的な学校にとって被害者の問題にしてしまう事が誠に都合が良く
多くの場合被害者の問題にしてしまうのです。
被害者はおとなしいからイジメられ反撃しないし報復を恐れて萎縮しているのです
また集団で暴行が行われ多数派が加害者であるから加害者側と学校が結託することがイジメの隠蔽に都合がいいのです
以上のことから被害者に対策を要求するような学校教師は考え方がすでに腐敗しもはや教育とは程遠い人物であると決定的に定まります
大抵の場合、そういう教師は無能でまともな授業はまったくできません
また、猥褻行為を行う事もしばしばあります
投稿: 匿名 | 2012/09/13 21:07