「知識」に対する「知識」が足りない教師たち
教師や元教師がこのようなブログを書くのは,けっこう勇気が必要ですね。
それは,自分の教育への見方・考え方,理解の幅広さ・深さなどがわかってしまうからです。
どんなレベルでも,全くそのことが気にならない人だけが,こういうブログを書き続けることができているのかもしれません(私をはじめとして)。
「匿名さん」から,たいへん貴重なコメントをいただいております。
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負の連鎖を断ち切る、とても重要で、簡単なようでもなかなか思うようになりません。
私が考えるに、子供たちに知識ゼロからの正しい知識の構築方法を教えるのが良いと思いますが、あまりにも浅はかな辞書引きをしていたのでは全く無理。
調べるとき、もっと深く、突っ込んだ調べ方を教えないとなりません。
もちろん、型にはめた知識を押しつけたり、個人の曲解を示したりでは、デタラメを教えていることになります。
ゼロから構築すれば、と言っても、すでにいろいろな資料や解説があり、どれがどういう理由で正しいといえるのかということを話せるようになることでもクリーンな知識の構築に役立つと思います。
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今日は,他校の若い先生とお話しする機会があって,
「知識を教える」ということについて,私の見解を述べる場面がありました。
「知識」とは,「知識」として教えるものではない・・・・というのが,私の意見です。
考えたり,調べたり,まとめたり・・・・そういう活動の中で,子どもが理解できた程度のことが,その子どもにとっての「知識」です。
ですから,「何年にだれが何をしました」ということは,「知識として教える」ようなものなのか,考えてもらいました。
子どもたちにとって,考えたり,考えついたことを表現する手段として,知識が必要になる課題や場面を設定して,子どもが自分からアクセスしていくものが,学校で「学ぶ」知識だ,という認識が必要だろう,と。
知識を求める意欲の引き出し方が,
「テストに出るから」
ではなく,
「この課題を解決したいから」
となるようにすることで,教科の目標は達成されやすくなるのです。
最低なのは,辞書で引いて,何かわかった気にさせてしまうような教師です。
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