教師の条件は「広い視野」です
人間は,ときに極端な方に偏りがちです。
もし日本が二大政党制になると,政権交代が起こるたびに,実は二大政党制ではなく,「一大政党制」の様相を呈するようになるという危惧があります。
日本人がとても得意な「振り子現象」です。
どういう人間を育てるべきかと聞かれて,社会科の教師は教科目標にもある通り,「広い視野をもつ人」を第一にあげる人が少なくないでしょうね。
「広い視野をもっている」ということは,「思いやりがある」とか「向上心をもつ」とか,「基本的な知識や技能を身につけている」とか,多くのことも同時に実現しているはずだと考えられるからですね。
「広い視野がない」人間には,
まともな「反省」など決してできません。
「広い視野をもつ」と,こういうことが言えるようになります。
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「教師には,情熱が必要だ」という人に対して。
・・・・一部の活動だけに,情熱を燃やしている教師がたくさんいませんか。
不思議なほど,「定時に帰る」ことに情熱を燃やしている教師がいます。
組合活動への情熱の高さで,授業を自習にしてしまうほどの教師がいます。
部活動の指導しかできない教師がいます。
「一部の奉仕者」になる情熱ではなくて,「全体の奉仕者」としての情熱が教師(教育公務員)には必要なのです。
子どもに対する直接的なはたらきかけだけに「情熱」を傾ける教師の多くは,「自己満足型」です。
「情熱を傾けている」と「自分に酔う」人間たちにとっては,子どもたちの成長は「そういう気分を味わうための道具」なのです。
「自分は情熱を傾けてこれだけがんばっている(がんばってきた)のに,どうして自分の指導について,あれこれ言われなければならないのか」という反応を起こす人間が見ているのは「自分」であって,「子ども」ではないのです。
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「教師には,相手を気分よくさせられる力が必要だ」という人に対して。
・・・・これを,「相手を気分悪くさせてはいけないこと」と勘違いする教師がいます。
すぐ近くにもいませんか。
子どもだけでなく,周囲の教師たちにも常に「いい人」と思われていたい,という人が。
小学校や中学校の,「子どもを気分悪くさせてはいけないこと」を最重視したい教師が,子どもたちの問題行動の多くを「なかったことにしたい」気持ちになるのはよくわかりますね。
小学校の校長が,「荒れているクラスもあるなあ」とのんきでいられる気持ちもわかりますね。
勘違いしているからです。
教育の世界で,「子どもの気分をよくさせる」のは,「何を通してなされるべきか」が語れないような人間は教師には向いていません。
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「教師には,作文力が必要だ」という人に対して。
もう,私が書くことはみなさんのご想像の通りです。
どんな指導力不足教員でも,採用試験のときの「作文」は立派だったはずです。
教育実習生ですら,「授業実践をする上での留意すべきこと」の「作文」は,とても立派に書くことができます。
教師になるための条件と,
教師を続けていける条件を,分けて考えることが重要なのでしょうね。
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コメント
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本当にその通りだと思います。
投稿: 匿名 | 2012/06/25 07:23