「チーム力」が発揮できない小学校と荒れた中学校の共通点
ある中学校1年生が,しみじみともらした一言。
「小学校は,楽しかった」・・・・・
理由:「先生は,何も注意しなかった」・・・・・・
学校は,ときどきアンケート調査をしますよね。
「~は楽しかったですか」
という項目をよく見かけます。
でも,
「どうしてですか」までは,書かせない。
「道徳の授業は楽しかった」
・・・・理由は,トランプをしていても,注意されなかったから・・・・?
子どもにアンケートをするときは,
「何がどうして楽しかったか」まで,具体的に記述させた方がいいですね。
そうでないと,ほとんど意味がないというか,誤解まで招く,原因になる。
さて,中学校の教師から見て,小学校の教師は甘い,問題教師とよべるレベルまで甘い・・・・甘いというか,「おかしい」・・・・ように思えることが少なくありません。
定期考査で,ときどき,答えを書き直して,
「先生,これ,採点間違っています」
と言ってくる子どもがいます(いました)。
「答案はすべてコピーをとってあります」と宣言しておけば,こういうことは起こらないのですが,事前に不正行為に関する注意すると,こんなことを言ってくる中学校1年生がいました。
「小学校のときの先生は,2個くらいは書き直してもいい,みたいな感じでした」
・・・・・・・・・・・・・・
不正行為を認めていたのは,小学校の先生だったのですね・・・・。
足立区の学力検査で,答えを教えたのも小学校の教師でした。
書き出すときりがないのですが,今日の話題は,
生徒指導の「チーム力」です。
小学校には,「チーム力」を発揮する「場」がめったにありません。
他のクラスに「修正」のはたらきかけをすることなど,「もってのほか」。
学級王国が基本の小学校では,運動会や学芸会などですら,担任による指導が中心というところもあるようです。
私自身,他のクラスの先生に「指導」された経験はありません。
私のクラスは,「厳しい」先生で,隣のクラスは,正反対の「甘い」先生でした。
たまに,隣のクラスの人が,私のクラスの担任に指導されたことはあったようですが。
小学生の中には,「甘えられる」と「見込んだ」教師には,とことん「甘える」主義の子どもがおり,一方から見れば「崩壊」,クラス内から見れば「生き生き」「活発」「伸び伸び」,そんな状況が生まれます。
中学校に入って,不適応を起こす子どものタイプの一つが,
こういう学級で「自由を謳歌していた」子どもたちです。
「中学校は厳しい」。「中学校はつまらない」。
理由・・・「いろんな先生が注意してくる」。
こういうことを言ってくれるおかげで,「チーム力」がある学校かどうかが自己判断できます。
ある小学校のあるクラスは,
「校長先生にも『崩壊学級』と呼ばれるところ」だったそうです。
こういう学級がなぜ生まれるのか。
なぜ管理職は,他人事でいられるのか。
小学校の退職校長のブログにも,こういう「他人事ですませる」ような記述がありましたね。
・・・・・こんな「問題」をつきつけてみても,「どうしようもないでしょ」とあきらめられるのが「オチ」なんでしょうか。
それとも小学校では,
「隣のクラスが失敗している方が,自分のクラス経営がよく見られるので,望ましい」???なんて考え方もあるのでしょうか。
中学校では,子どもが成長するにつれて,教師たちの
「責任分担」「協調行動」「得意不得意」「リーダーシップ」等が見えてきます。
そして,いつしか自分たちも,それらができたり,自覚できたりするようになっていく。
残念ながら,荒れた中学校というのは,教師たちの
「責任放棄」「身勝手行動」「不得意不得意」「リーダー不在」が見えてしまいます。
そして,自分たちも同じようになっていく。
荒れた中学校をたてなおすコツは,以下の4つです。
○教師の責任分担をはっきりさせ,役割分担ごとに責任をもつ。
○教師たちの協調行動を子どもに見せつける。
○教師たちは得意不得意を自覚し,自分が不得意なところを他の先生にカバーされている場面を子どもに見せつける。
○教師たちは得意な分野では,リーダーシップを発揮して,教師はもちろん,子どもをリードしていく。
無理な注文かもしれませんが。
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