「問題はない」ことにするのが最善策
タイトルのような考え方の教師,あるいは管理職がいる学校では,本当に苦労が絶えないことでしょう。
力のない教師や管理職のとる手が,「問題はない」と断言してしまう方法です。
言霊文化の最悪の面です。
「ない」と言えば「ない」ことになる。
という考え方。
「ある」と言えば,「ある」ことになってしまう。
事実を言っているので当たり前のことなのですが。
「今の現場には問題がある」というだけで,
「必死に頑張っているのだ」という,問いの答えにはなっていない反応をする人間がいるのです。
こういうタイプの教師に「やられた」経験がある先生方は多いことでしょう。
一部の人たちが,「教育委員会がプレッシャーをかけたので学力テストの答えを教える先生が生まれたのだ」
と,子どもに答えを教えてしまう教師の問題は「なかったこと」にして,
「教育委員会によるプレッシャー」
「学力テストを実施するという政策」
が問題なのだ,主張しました。
こういうタイプの人は,問題を隠そうとするか,なかったことにするのが常套手段です。
あるクラスの子どもの問題を,「それは大したことじゃない」
保護者が対応のまずさに本気で怒っているのに,「おおげさな親だ」などと
という対応をとって,
「私のクラスに問題はありません」
などと断言した教師がいました。
次々に明るみになる事実により,
「問題がなかった」とは言えないことが明らかになると,大変なのは「学校という組織の責任」を問われることになった後のことです。
管理職が「担任の言うことを信じていました」なんて言えば,今度はそういう管理職を管理する教育委員会にまで火の粉は飛んできます。
以上のような問題ですら,「その程度のことはたいした問題にはならない」なんていうレベルの学校が,現実にあることをふまえた対策をとらなければなりません。
取り返しのつかないところまでいかないと,「問題」を「問題」として認識できなかった学校に転任した私が見た世界のことを,具体的に告げる機会が最近増えました。
「授業の話をする以前に,確認したいことがあります」
と切り出す講師は,私です。
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