教え方が「上手い・下手」以前に正しい情報・姿勢が必要
子どものことがよくわかっている教師と,わかっていない教師との間には,決定的な差があります。
たとえば,あることがらについて強烈な拒否感をもっている子どもがいたとします。
そこに,「指導技術ナンバーワン」の教師がやってきて,授業をする・・・・。
どんな失敗が待ち受けているかは,ご想像にお任せします。
中程度の経験をもつ教師の落とし穴は,「技術」によって子どもを動かそうと考えてしまうことです。
まるで小学生を相手にしているような,露骨に「こうすればできる」ことを訴える本のタイトルが散見されますね。
そういうのに飛びつく教師は小学生レベルなのです。
一人一人の子どもを知れば知るほど,教師によっては身動きができなくなりますが,「ブレ」なく,一定の態度で接してさえいれば,無意味に子どもを刺激したり混乱させたりすることはなくなります。
絶対にブレてはいけないのは,教師たちは自分たちをことを「知ろう」と思ってくれている,そう実感させることです。
子どもを知ることが,授業をする上では大前提で,たとえば教育実習などで初めて子どもと接する大学生などにとっては,最初に指導教諭から与えられる情報が,「生命線」となる場合すらあります。
授業を通して,子どもを知る。
子どもの考え方を知る。
子どもの理解度を知る。
子どもの関心の方向性,傾向性を知る。
子どもと子どもの関係性を知る。
こういうことを「知ろうとする」態度,姿勢,意欲,言動が,子どもを変えていきます。
ある子どもが「強烈な拒否感」を抱く事例の一つが,「言っていること,やっていることがコロコロ変わること」。
しかも,それが,正しい情報を根拠とせずに,感情のまま,変化すること。
こういう大人に育ててはいけません。
この記事は,以下の本の一節をヒントに書きました。
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中西輝政著『情報を読む技術』サンマーク出版
「交渉や戦いの巧拙よりも,情報の有無が勝負を決める」
・・・ロシアの送り込んだフランスの記者が,日本でつかんだ情報を,ロシアに伝えていた。もしこの情報がなければ,乃木軍が苦戦することはなかったかも。
・・・イギリスから,「ロシア皇帝の気が変わった」という情報が入らなければ,「日本はもう戦えないから,どんな不利な条件でも合意せよ」といった当初の命令に従って,南樺太も得ることなく,小村寿太郎は帰国することになったかも。
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