「上から目線」を口にする人にとっての「やさしさ」が人を滅ぼす
「上から目線だ」と相手を非難する人間が失うものは,正しい自己理解のための情報です。
人間は,人の目に自分がどう映るかを知ることで自己認識ができるようになるという面がある。
本音の言葉をぶつけられないと,自己認識ができない人が多いのはわかりやすい話。
しかし,そのチャンスが失われる時代になってきました。
自己認識に必要な情報が入ってこない,「情報難民」になっているのは,「上から目線」という言葉を使う人たちです。
今の社会では,相手のための「本音の言葉」を拒絶する「空気」が蔓延するようになってきました。
自己認識を拒絶する人間が増えてきたことが,最大の原因かもしれません。
自己認識を拒絶する人間にとっての「やさしさ」とは,本音を言わないこと,伝えられないことです。
内田樹などが言うように,日本の「ニート」たちは,「正しい自己認識」ができないがゆえに,現状に対して不満を抱かずに生活している。
もし,こういう人たちが「正しい自己認識」をするようになったら,政府は今よりもっと厳しい立場に追い込まれるだろう,という予測があります。
本当の「やさしさ」とは何か。
目先のことばかり気にする人にとってのやさしさは,不幸の先延ばしにすぎません。
もし教師だったら,「先生はとても厳しく,そしてやさしい人だ」というコメントを生徒からもらったことがあるかどうか。
教師になろうとする人たちは,自分にとっての「やさしさ」とは何か,子どもにとっての「やさしさ」とは何かを考えてみるべきでしょう。
同情していればすむ時代は終わったのです。
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