教師が犯してはならない公文書(=通知表)偽造の罪
「指導と評価」2012年3月号で,通知表記載ミスで問われる法的責任についてのQ&Aが掲載されています。
まず,「通知表」は呼び名が学校によってまちまちであることからわかるように,
法律によって規定されている文書ではありません。
指導要録は,学校教育法施行規則24条で校長に作成義務が課せられ,同規則28条で学校で備えるべき公簿として位置付けられているのと対照的です。
では,通知表は法令での定めがないものだから,記入のミスを犯しても大した責任は問われないだろう,なんて思ったら大間違い。
通知表は,学校が作成した以上は,重要な公文書である,という法的な位置付けがなされます。
公文書についての定義は,刑法155条1項にあります。
公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を使用して公務所若しくは公務員の作成すべき文書
が,公文書です。
通知表には,学級担任の印とともに,校長印を押すのが通例ですね。
通知表は,刑法でいう公文書にあたります。
産経新聞東京朝刊に,「通知表丸写しで小学校教諭処分」(2011年11月1日)という記事が掲載されました。
昨年3月まで担任していた5年生32人の3学期の通知表のうち,「学習の記録」と「行動の記録」に2学期の評価を丸写ししていたことが複数の保護者から指摘されて明らかになったそうです。
この教諭は,指導要録の「学習の記録」も4年時の内容を記載していました。
こうした行為は,
地方公務員法33条で禁止している信用失墜行為に該当することはもちろんですが,
刑法でいう公文書偽造の罪に問われる可能性すらあるのです。
法的責任を負うという以前の問題として,これは教員のモラルハザードという問題です。
こういうとき,「忙しいから仕方がない」という反応は,絶対にしてほしくない。
教員の無責任体質を是正する方法が「法律の知識」では,あまりにも情けないです。
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