若い教師に対して恥ずかしくない仕事術
どんな教師が,若い教師を,どのように育てているのでしょうか。
今の私があるのは,まずは,管理職のおかげという面が強いです。
東京都にはかつて様々な研修のしくみがあったのですが,管理職は「これを受けろ」「ここに行け」と指示してくださいました。
若いうちは,なかなか自発的に研修会に行く気になりません。
それよりも部活動で子どもと格闘している方がいいに決まっているからです。
もし管理職が声をかけてくれなかったら,今の私はいないでしょう。
また,一つの研修でそれなりのはたらきをすると,あとはいろいろな教師が次のステップへの勉強会や研究会などに誘ってくれるようになります。
それがなかったら,今の私はいないでしょう。
そうこうしているうちに,指導主事試験を受けろと言われ,行政の世界に入り,3年たって最終的には東京都を去ったことだけが,私の決断でした。しかし,もとは今の学校に誘ってくれた人がいたわけで,その人がいなければ今の私はいなかったことになります。
今の学校に移ったばかりのときも,私はまだ「若手」でした。
ようやく今頃になって,自分は若い教師に対して恥ずかしくしていない仕事をしているか,という自問ができるようになりました。
若い教師に対して恥ずかしくない仕事とは何か。
それは,少なくとも「仕事術」などというものを教えず,授業づくりにどれだけこだわっているか,たった一つの教材選びにどれだけ神経を使っているか,発問一つをとってもよりよいものを探し出すのにどれだけ試行錯誤をしているか,を見てもらうことにあります。
そして,効率よく,無難にすませようとする姿勢に対しては,徹底して批判を加えます。
「それは,スタンスの違いでしょう」などという反発する気が起きないくらい,教育に情熱をかけている姿に共感させるような努力をするのです。
小学校関係の教育書の中に,「いかにごまかすか」「いかに子どもの気をひくか」をテーマにしたものが散見されます。一人でいくつか同じタイプの本を書いている人がいます。
こういうものを公にして,恥ずかしくない神経がどうして小学校という教育現場で身に付いてしまうのか。
これがしっかり分析できない限り,教育の改革の本道を語っていくのは難しそうです。
学校に「遊び場」という要素を求めることは決して悪いことではないのですが,「楽しい授業」の意味を取り違える人を増やすような本が多いことは,本当に残念でなりません。
「気に入られようとする態度」が,いかに醜悪なものであるかを行動で語っていける仕事を示したいものです。
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