コンピュータ・オタクの「人間らしさ」
永世棋聖の称号をもつ米長元名人が,コンピュータの将棋ソフト「ボンクラーズ」に敗れました。
この出来事を引き合いに出し,以下のような「コンピュータ・オタク」らしいコメントしている人がいます。
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人間の思考力が単純化し、コンピュータはより利口になってきた。
やがて、人間とコンピュータの能力がクロスする時代がやってくるのではないかと思ったりする。
より「人間らしさ」が問われる時代になってきたと言えよう。
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新聞記事によると,「ボンクラーズ」は昨年の世界コンピュータ将棋選手権で優勝したソフトで,毎秒最大1800万手を読むそうです。
結果はわずかな「見落とし」の隙をついて攻められて,元名人が敗れましたが,そういうソフトと途中まで互角に戦い, 「前例のほとんどない手で力戦に誘導した」ことはすごいことだと感じました。
この人間対コンピュータの対局から,「人間の思考力が単純化」している,という結論を引き出すような人間の思考力とは,どの程度のものでしょうか。
コンピュータの解析力を引き出しているのは,人間の思考力ではないのでしょうか。
この人の言う,「人間らしさ」とは何でしょうか。
私は,この対局の実現こそが,「人間の強さ」の証明であると考えています。
米長元名人には,都庁のエレベーターでたまたま一緒になったことがありました。
見知らぬ職員からの軽い会釈に笑顔で応えてくれた元名人の「強さ」には頭が下がります。
間抜けなコメントの主はコンピュータが勝って,さぞうれしかったことでしょう。
これも,とても人間らしい反応です。
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