行政が荷担している教師の安易な仕事術
ある市の教育委員会が主催している研修会で講義をしたとき,最後のまとめのコメントで指導主事が
「すぐに学校に持ち帰って活用できることをたくさん示していただきました」
のような内容を連呼していたのに,私は強い違和感・・・というより嫌悪感を抱きました。
教育は,果実を積んで味わえば力がつくものではなく,土づくりから励まないと成果が出ないものなのです。
私も指導主事経験がありますから,行政が「即効性のある研修を実施してほしい」という教師たちからの要望に応えるかたちで・・・・教育委員会も教員から評価されている・・・・・研修を企画しているのだなあ,ということがよくわかったのですが,「すぐに役立つ知恵」を求める発想が,いかに「教育者としての望ましい資質」を台無しにしていくものかを理解していただきたいのです。
力がつく教師,伸びる教師と,そうでない教師の違いは,こういうことです。
今日の研修を受けて,~という課題に自ら取り組もうと決心した。
今日の研修を受けて,~を授業で使おうと思った。
この二つの反応は,天と地とほどの違いがあるのです。
研究する=学ぶ意欲を高める研修が重要なのに,そういう教師が少ないから,研修の効果が上がったことにしたい場合は,どうしても自分の頭では考えないで人のモノマネをしようとする教師が満足することで高い評価をもらおうとしてしまう。
悪循環です。
研修の評価は,この研修を受けて,自分にはどんな課題があり,また,どんな課題を設けてこれから研修に励もうと思ったか,それを聞かなければいけないのです。
子どもに対する教育と,全く同じなのです。
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