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問題解決学習が抱える問題 【教員採用・面接対策】

 教員採用試験の面接で,「問題解決学習,あるいは問題解決的な学習の長所と問題点を述べなさい」と問われたら,どのようなポイントをおさえたらいいでしょうか。

 まず,本に載っているような話と,自分の経験に基づくことをどうからませるかを考えます。

 本に書かれているような長所は,

 1 学習に対する動機づけがうまくいき,自発的な学習を促すことができる。
 2 思考力・表現力や創造性を伸ばすことができる。
 3 グループで学習を進めさせることで,協調性や責任感を高めることができる。

 問題点は,

 1 教師の側では,準備に多くの時間が必要。
 2 話し合いや作業の時間が必要で,指導には多くの時間を費やす。
 3 系統的な知識を習得させることが困難。
 
 などです。

 経験をからませる例は,

 私は,防災について,身近な地域の課題を発見し,中学生としてできること,行政にお願いすべきことを追究した経験がありますが,社会に生きる人間,また,地域の一員としての自覚を高めることができました。また,災害を全くゼロにすることは不可能であり,防災というより,どうしたら災害の被害を低く抑えることができるか,つまり「減災」という発想で政策を考えることが大事であることに気づくことができました。
 班員と一緒に地域を調査したり,分担して役所の訪問をしたりして,役割分担を明確にすることで中学生になりに責任感を高めることもできたと実感しています。
 これを教師の側からみると,聞き取り調査に協力してくださる地域の方々を探していただいたり,調査中に注意すべき危険箇所を教えていただいて中学生が安全管理に留意できたりなど,事前にとても多くの準備が必要であることもわかりました。
 ですから,もし教師としてこのような問題解決的な学習を指導するときは,学校の教師の協力体制や個別の役割を明確にしながら,協働を基本として計画・実施にのぞんでいくことが大事だと思われます。
 また,ふりかえりを大切にして,このような実践的な学習をとおして身に付けることができた学習技能が,普段の教科の学習でも生かせるように,「どんな力が身に付いているのか,何ができるようになったのか」を生徒に自覚させることも大切だと思います。

 のように,問題点を解決する方向性も示せたらベストでしょうね。

 グループで学習させると,結局は学力が高い生徒が中心的な役割を果たし,他の生徒が「傍観者」になってしまうおそれがあるのも問題解決学習の問題点です。

 よく,教師は「話し合い」をさせますが,教師同士の「話し合い」を想定すれば分かるように,「押しが強い人に周囲が従う」という図式が子どもにもあてはまります。

 つまり,「統率力」があまりよい意味ではなく発揮される状況です。

 意見が分かれれば,「話し合い」というのは「説得と妥協・あるいはあきらめの場」になるのです。

 何でもかんでも「話し合わせればよい」というものではありません。

 何が「話し合い」のテーマになりうるのか,そのとき教師はどのような助言を与えたり,最終的な決定を下さなければならないのかも,できるだけ想定しておくのも指導者の役割です。

 絶対にやってはいけないのが,「場当たり的な指導」ですが,そうなりがちなのが問題解決学習なのです。

 なぜなら,問題に向かって調べれば調べるほど,もっと深い問題や別の問題にも気づいてしまうからです。

 教科書の内容を教えるのが精一杯の教師に,問題解決学習の指導はできません。

 問題解決学習の指導を効果的に行ってもらうには,問題解決学習の問題点を解決する道筋も想定できていてほしいものです。

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宮城谷昌光の言葉

  • 雲のうえに頂をもつ高山を登ろうとするのに、その山相のすさまじさに圧倒され、おじけづいていては何もはじまらない。最初の一歩を踏み出さねば、山頂は近づいてこない。
    「楽毅」第四巻より
  • みごとなものだ。斂(おさ)めるところは斂め、棄てるところは棄てている。楽氏が棄てたところに、われわれの生きる道がある。
    「楽毅」第四巻より
  • 去ってゆく千里の馬を追っても、とても追いつかぬぞ。千里の馬の尾をつかむには、その脚が停まったときしかない
    「楽毅」第四巻より
  • ・・・つくづく人のふしぎさを感じた。道を歩く者は、足もとの石をたしかめようとしないということである。千里のかなたを照らす宝石がころがっていても、気がつかない。それほどの名宝は深山幽谷に踏みこまなければ得られないとおもいこんでいる。
    「楽毅」第三巻より
  • この城をもっとたやすく落とすべきであった。たやすく得たものは、たやすく手放せる。
    「楽毅」第二巻より
  • なにかを信じつづけることはむずかしい。それより、信じつづけたことをやめるほうが、さらにむずかしい。
    「楽毅」第二巻より
  • からだで、皮膚で、感じるところに自身をおくことをせず、頭で判断したことに自身を縛りつけておくのは、賢明ではなく、むしろ怠慢なのではないか
    「楽毅」第二巻より
  • こうする、ああする、といちいち目的と行動とを配下におしえつづけてゆけば、配下はただ命令を待つだけで、思考をしなくなる。この四人はいつなんどき多数の兵を指揮することになるかもしれず、そのときにそなえて自立した思考力をもつ必要がある。
    「楽毅」第二巻より
  • 人は自分の存在を最小にすることによって最大を得ることができる
    「楽毅」第三巻より
  • 勇と智とをあわせもっている者は、攻めるときよりも退くときに、なにかをなすときより、なにもなさないときに、その良質をあらわす
    「楽毅」第二巻より