「考えるヒントで考える」をヒントに考える
小林秀雄の「考えるヒント」を手がかりに,「気鋭の若手評論家」である中野剛志が考えたことをしるした「考えるヒントで考える」(幻戯書房)をヒントに教育問題を考えてみます。
宮本武蔵は,「観」と「見」を区別した,という話を小林秀雄がしている。
武蔵の「見」とは,
相手の動きを分析的に見る目であるのに対し,
「観」とは相手の存在を全体的・包括的に直覚する目であるという。
「見ようとする意識が,目を曇らせる」という経験を,教師はどれだけ語ることができるでしょうか。
「見の目を弱く観の目を強くすること」が,どれだけできるでしょうか。
観念論や精神論ではなく,実践論としての「観」を,武蔵は重視していました。
「兵法は,観念のうちにはない。有効な行為の中にある」
この言葉が,どれだけ響いてくるでしょうか。
教師として,個別具体的な問題の解決に,今まで本当にひたすら専念してきたと言えるでしょうか。
武蔵は,当面の目的を遂行しようとする実践的な行為を経験し,その経験を通じて得たものだけを信じました。
私の場合は,いかにもあやしい「教育論」「教育実践」をどう斬っていくか,・・・しかも「対話」が成り立たない相手に対して・・・難しいことですが,「当たり前のようにおかしい」学校現場を変えていく突破口になることを信じて,異を唱えていきたいと思います。
私にとって,「教職は,天職である」と呼んでみたいのは,
小林秀雄が「天職」のことを,
「自分の職業に対していよいよ深まって行く意識的な愛着の極限概念」だと言っていることからも刺激を受けているからです。
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