若い教師の仕事術
マニュアル人間が増えていることを助長しているのが,中途半端な経験をもった人間の「時間術」とか「仕事術」などのいかがわしい本です。
「いいやり方があるよ」
「時間をかけない方法だよ」
「効果的な方法だよ」
などという言葉につられてまねをするような人間に,本当に効果的な仕事ができるはずがありません。
教育という仕事に効率とか簡略化とかいう概念をもってこようとする人間が,子どもをどう見ているか,容易に想像がつきます。
「カンタンにうまくいく教え方」
などの甘い言葉につられる人間は,そうやって子どもを育てていくのがよいと考えているのでしょうか?
若いときしかできない,独身のときしかできない「時間のかけ方」があり,実際に本を書いている人間はそういう無駄な時間を過ごしたからこそ,自分で実践できるようになったことがあることも知っているはずです。
とにかく若いうちは,ありとあらゆる方法を自分で考えて,試行錯誤することです。
子どもの反応なり動きなりを,しっかり見つめることです。
毎日の活動の中で,教師として「やりたいこと」がどんどん出てこないのであれば,それは教師には向いていないということです。
知識が足りないことに気づいたのなら,ひらすら調べることです。
そういう手間を省くような本を出す神経が,「教育者らしくない」ことになぜ気づかないのでしょうか?
「どうしたらうまく授業ができるかわからないと相談された先生に,いい方法を教えられなかったのは残念だ」なんて,そもそも「学ぶ」ことの意味がわかっていない人間のせりふです。
すぐ答えを知りたいと思う子どもとか,いい方法を人から聞いてまねしたいと思う子どもが増えているのは,そういうタイプの教師と,そういうタイプの教師を応援する教師がいるのが最大の原因でしょう。
小学校の教師にその傾向が顕著です。
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