NHKスペシャルの仕事術 リーダーシップ論
日本型「カイシャ」の代表格のようなNHKですが,系列のカイシャの人とお話して,「どうしてここまで融通が利かないのか」・・・・たとえば,「日曜日にアーカイブズが閲覧できない」=仕事をしたくてもできる環境がないとか・・・・などと不満に思ってしまうのですが,久しぶりに,かじりついてみてしまった番組がありました。
NHKスペシャル シリーズ「日本新生」の「生み出せ!“危機の時代”のリーダー」です。
これだけの出演者が集められる仕事は,やはりNHKしかないのかもしれません。
事前に取材されており,番組にも出演した現役の官僚,被災地で活躍している経営者や支援団体の方,私も読んだことがある,さまざまな著作での有名人・・・まず出演者だけで「観てみたいな」という気持ちになりました。
民放の場合はMC帝国主義で,出演者はお笑い芸人(NHK高校講座にも進出されていますけど・・・)が欠かせなくなってしまっていますが,NHKには,少なくともMC帝国主義はいない(帝国主義的MCは民放に引き抜かれるという面もありますけど)。
討論番組の場合は,「いろいろ言いたいことがある」出演者のコメントをどれだけ短く,的を射たものにしてもらうかが進行役の仕事術ですが,それもうまくいっていました。何人かの出演者によるプレゼンも,適切な長さで印象に残りました。
社会科の授業をしている者の立場から言うと,なかなか魅力的な進め方に見えました。
「どうなったらこの番組が成功と言えるのか」などを出演者が語るあたりはやりすぎかという感じもしましたが。
ディレクターがもっていたリーダー観というか,「おとしどころ」は最初から見えていたので,どうやってそのゴールに導いていくのかが最大の関心事でありました。
今回は,実際のさまざまなタイプのリーダーがおり,さまざまなタイプのリーダーを知っている人がおり,そして従ってきた人,組織を去らざるを得なかった人・・・・いろいろな立場の人がいたことが,成功の秘訣だったようです。
「違いを認める」というより「違うことが大事なことだ」というメッセージを発する授業をしているかどうか。
それが教師に問われていることであるようです。
みんなを同じ思想,同じ考え方,同じ理想に近づけようとする時代は,強力なリーダーというのが必要だったし,求められていた。しかし,今は,そういう時代ではない・・・だから,どうする,という問いに,答えていくのが学校現場の使命でありましょう。
だから,「特定の好み」のもと,「同じ目標に向かって」活動する生徒を集めた部活動の実践の紹介だけでは,懐古主義の人を満足させるだけであり,「それだけで生き抜ける時代ではない」ことに気づかなければならないのです。
*********
蛇足ですが,この途中で流されていたNHKニュースの一部「差し替え」にも興味をもちました。
7時くらいのニュースでしたか,「留学生を採用したい企業の説明会」の場面が放映されました。
そこで,伊藤園だったか,飲料メーカーのブースでインタビューに答えていた中国人留学生が,「これは中国でも絶対に売れる」と答えていた場面がありました。
それが,8時45分のニュースでは,その部分が差し替えられていたのです。
伊藤園のお茶の宣伝になってしまうからか,どこかのクレームか,自主規制か,どういう判断で差し替えられたのか,興味がつきないところです。
NHKって,こういう質問には答えてくれる組織なのでしょうかね?
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