「意識改革」にふれた過去の記事を 件,再掲してみました。
「人の意識を変えるほど難しいものはない」と言われます。
意識と現実のズレが取り返しのつかないものになってすら,意識を変えられない,というか現実を認められない人間が多い。
教師の場合は,「がん細胞」とよばれる「あの団体」によって,若い教師は「組織の一員」としてふるまうことを強要され,子どもそっちのけで「運動」に参加させられたりする。
「組織的・計画的な学校運営」が大切だと行政は言っていますが,団体のための「組織的・計画的な行動」を強固に行っている教師たちにとっては馬耳東風。
教師の意識改革を阻む「がん細胞」が「あの団体」だとすれば,最後の望みは「個人としての良心」しかない。
「内心の自由」しかない。
「内心の自由」を訴えている教師たちが,未来を支える教師たちの「内心の自由」を奪うことをやめれば,日本の教育にも未来が見えてくる。
以上のような考え方があることを,若い教師たち,これから教師になる人たちには,心に刻んでおいてほしいと思います。
まず,自分自身の「個人の尊厳」を重んじて下さい。
そして,組織によって刷り込まれた,別の意味の「個人の尊厳」をふりかざす「集団」「団体」の醜悪さから,子どもたちを守って下さい。
学力向上のための自治体の取組も再掲しておきました。
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2007年8月17日「修正を重ねて成功に結びつくイメージ」
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教育改革は、教師一人一人の意識改革から出発しないと成功しない。これは真理なのでしょうが、だから、「政府は何もいいません」「校長もみなさんに子どもはお任せします」「親のように子は育つ」とはいかない。
では公の立場からはどう教育を変えられるのか。
教師一人一人の意識を変えさせる方法は何か。
職務目標やキャリアプランを検討させることを人事考課制度に組み込んだ東京都の政策は、もともと「自分が変わることが大切だ」という意識をもっている教師には有効的でしたが、自分のことはいっさい棚にあげて「行政が」「政府が」「管理職が」・・・と真犯人は他人だとかたく信じている人には効果が今ひとつでした。
成功した人たちの多くは、願いを実現するまでに数え切れないほど修正に修正を重ねている、と言いますが、人事考課制度も改善を重ねていくことが重要です。教師が目標をもてる職場環境づくりが第一に必要で、「チームワークを向上させる」という最も大切なところからはじめるとか、「コミュニケーションを活性化する」とか、成功例は10年程度の経験がある教師ならわかるものがあると思います。これを一般化できないものか。
教育の現場で「成功」のイメージがわきにくい(大会で優勝するなどの部分的な目標ではなく・・・)ので、コンピテンシーモデルというものをどう実用化するかが私の課題ですが、一応、成功方程式のラインに乗っている内容はおさえられているようです。
理想を言えば、教師と管理職が現状を見つつ目標とそれを達成する手段を修正し続けた結果、成功が得られたという体験を積み重ねることが大切です。
ただ、コンピテンシーディクショナリーとよべる事例数がまだ十分ではありません。
「情熱」がある教師が求められるといいますが、情熱だけでは教育はできない。メリデメの理解も必要になる。部活動をしていた中学生が亡くなる事故がおこることもありますが、教師や子どもの情熱はこういう結果を招く恐れもあります。
具体的なリスク管理の方策をコンピテンシーモデルとセットにして考えなければなりません。
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2008年4月2日「藤原前校長が越えられなかった壁」
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藤原和博著「バカ親、バカ教師にもほどがある」(PHP新書)を読んで、長い間抱いていた違和感(経営者であっても教育者ではないなという感覚)の原因がわかりました。この本は、和田中の教師や親を非難する形にしないために、川端裕人が聞き手になって、藤原前校長がこたえるという体裁になっています。本のタイトルにある「バカ教師」の記述は少なく、全体としては教師・学校擁護の内容になっています。
違和感の具体的な内容は示しませんが、結局藤原前校長は、優秀な教師やよい授業というものにあまり出会ったことがなかったのだということです。
現役の教師にそれを期待してなかったから、自身で授業づくりをし、ゲストティーチャーを招き、カメラを入れて教壇に立ったのでしょう。
ダメ教師に対しても、「それが子どもの自立を促進する」という褒め殺し?のような表現をしていました。
ご自分はそれで成功してきたのでしょう。
もしかしたら、「優秀な教師だ」というふれこみで異動してきた教員が、全くの期待はずれで、行政の人間の「人を見る目のなさ」に落胆し続けていたのかもしれません。
教員への不信は、「六時間の授業にじっとたえて受け続ける子ども」への同情になり、教員以外の人とのかかわりを重視するようになっています。
また、教員が対処すべきトラブルと対処不能なトラブルをまとめ、たとえばソーシャルワーカーを増やすべきという提言をしていますが、公立学校に求められている機能を放棄する宣言に見えました。
以前からの著書で「校長」という立場の「力のなさ」はくどいほど強調していましたから「責任に見合わない待遇への不満」が強いことはわかっていましたが、結局「公立学校の校長の意識改革」は促せずに現場を去ることになってしまいました。
心ある教員や校長は、藤原前校長があきらめた大きな壁を越えようと今も励んでいるのです。
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2008年5月4日「社会科教師の逆コンピテンシー その6 学習への意欲を高める「しかけ」」
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第6回のテーマは、「対人変革力(②対人のC創造力)」です。
「対人変革力」不足は社会科の授業という観点から言えば、戦略力などの貧困が原因なのでしょうが、学習に対する意欲を高めることができない教師、学力を向上させたいという願いが生徒に伝わらない教師は、かなり高い割合を占めていると思います。
単純に、「テストで高い点をとらせたい」という気持ちは伝えることができても(脅しという方法も含めて)、具体的にこういう力を今、身に付けてほしい、こういう力を今、発揮してほしいという願いが伝えにくい原因は、社会科という教科の特性にあるのかもしれません。このことについては、多くの側面からの分析が必要です。
そもそも人の意識を変えさせることは、容易ではありません。
社団法人公共広告機構が、公共のマナーや環境問題などをテーマに視聴者に語りかけるCMを提供していますが、その効果のほどというのはどれだけでしょう。
広告会社は、人の意識を変えさせ、購買意欲を高める広告をつくるのが仕事なのでしょうが、そこには数多くの「騙し」のテクニックがあることはよく知られています。
手段を選ばずに、さまざまな「しかけ」を用いて、人の意識改革を目指す。企業でも、たいへんな苦労をしているようです。
教育行政も、教師の意識改革を目指して、次々に施策を打って出ていますが、もらっているのは「反感」ばかり。方法が方法だからでしょうが。
横道にそれますが、日本のテレビCMは、「一段落CM」よりも、「ヤマ場CM」の方が多いのだそうです(日本は40%、アメリカは14%、イギリスは6%、フランスはゼロ・・・竹内一正著「グーグルが日本を破壊する」PHP新書より)。
ドラマやクイズ番組でも、大事な場面でCMが入り、見ている方は非常にイライラします。
ただ、日本人は「弱気の遺伝子」が強いらしく、そういうCMを流す会社の商品を買わないとか、テレビ局に苦情の電話を入れるとか、リモコンを投げつけるとか、そういう行動はあまりおこさない。だまってCMが終わるのを待っている。そういう側面もあるのですね。
社会科で身に付けさせようとしている知識・技能は、世の中にあふれている膨大な情報・ルールの中のごく一部です。しかし、それを知りたい、集めたい、解決したいと思わせるきっかけになるしかけは、教科書の中には十分にありません。
たとえば、「フランスでは見られないヤマ場CMが日本で多い理由は何か?」という問いは、教師が問うわけではなく、聞き手が勝手にそういう疑問をもつように「しかける」のが社会科の授業です。
【試験問題】 社会科という教科を好きにさせるために、あなたが指導できる、とっておきの教材とは何ですか。また、その教材が多くの生徒を魅了した理由は何でしょうか。
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2008年9月1日「大阪の快進撃は始まるのか?」
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報道されている橋下大阪府知事の発言について、現場の教師の多くは反発を強めていることでしょう。
今後、行政主導の学力向上テコ入れ策がどんなものになるかはわかりませんが、現場のよりよい実践が広まる速度より、行政主導の流れの方が速いという問題には、他の県の先生方も早めに気付いた方がよいかもしれません。
大阪府の先生方にとっては、今後取られる方策によって、もし学力向上の傾向が見えてしまうと、それまでの指導の質が問われてしまうことになるし、成果が出なければ出ないでさらなる「意識改革」が求められる。
現場は常につらい立場です。
とにかく小6と中3の学力だけを向上させるというのは無理なことで、小6にしろ中3にしろ、その結果は過去何年間かの積み重ねによって生み出されたものであり、地道な努力によってしか達成されないと一般的に考えられるのが学力の特徴です。
ただ、全国的な学力調査問題の成績に限って言うと、短期間の「意識改革」で向上する可能性があることも否定できません。
それは問題の質とそのレベルから言えることです。
東京都の場合は、問題の形式・趣旨は同じではありませんが、全国的な学力調査の少し前に、小5、中2の段階で独自の学力調査を行っています(名称は「児童・生徒の学力向上を図るための調査」)。
この調査が「学力向上」への意識付けに一定の効果があることは、都の報告を見てもよくわかります。
全国的な学力調査の問題の難易度はやや難しめになったようですが、そうは言っても、問題が全国に公表され、テスト自体とか文部科学省=「お役所」の好き嫌いの問題ではなく、「このような問題はできてほしいなあ」という素直な願望が浸透していくことは、子どもや教師にとって「どうせ毎年あるものなら、今年はがんばってみるぞ」などという動機付けに結びつくかもしれません。
都道府県規模の平均点というものの差は、学校間で競争するのとはわけが違いますから、簡単な「インチキ」で縮めることができるものではありません(県ぐるみで不正をはたらけば別ですが・・・)。
平均点が高い低いでウダウダ言うこと自体、教師の多くは虫酸が走るように嫌なことかもしれませんが、県別上位でも学校ごとに結果を見て、「もっと得点が取れるはずだ」という「意識」を子どもも教師ももてるようになることが、ヘキサゴンを見て喜ぶより先にあるべきであるような気がしています。
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2008年10月8日「学力調査の結果を生かす工夫」
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教育関係者でないとあまり知られていないかもしれない事業に、昨年度、文科省が実施した『学力調査の結果に基づく検証改善サイクルの確立に向けた実践研究』の委託研究事業があります。
これは、都道府県・政令指定都市ごとに設置された検証改善委員会が実施する研究事業で、各自治体のHPでは公開されていると思います。
文科省が評価した学校改善支援促進事業の内容が公開されているので、ここでいくつか紹介してみます。
(「成果の普及」については省略します)
***福島県検証改善委員会***
①学力調査結果の詳細な分析と優れた実践をしている教師への聞き取り調査
・全国学力・学習状況調査の問題と結果の分析やこれまで実施してきた「福島県学力調査」結果との比較等により、より詳細な分析を行い課題を明確にする。
・優れた実践をしている教師の授業観について聞き取り調査を行い、本県の教師の「授業観」の振り返りの指針となるようにする。
②データ分析支援ソフトの開発
・各学校、各学級毎の実態や課題を把握できるようにするためにデータ分析支援ソフトを開発し、各小・中学校に配付する。
③県版「活用力向上のための指導資料」の作成
・「知識」と「活用」問題の関連を視野に入れた日々の授業改善に生かすことのできる具体的な指導資料を開発する。
④「知識」の習得と「活用」との学びの関連を図った「提案授業・授業研究会」の各学校への同時配信
・小・中学校の教師や大学教授等様々な立場の授業者が「提案授業・授業研究会」(5校予定)を行う。その映像を県内の小・中学校にWeb配信するとともに、DVDに収録して配付し、各学校の校内研修での具体的な授業改善の協議の活性化を促す。
⑤「授業改善サポートブック」の開発
・学力調査の分析及び開発した教材・資料等を「授業改善サポートブック」としてまとめ、県内の小中学校教師全員に配付し、校内研修での活用を促す。
***富山県検証改善委員会***
1.学力調査結果に基づく分析
①「学び合い」と学力との相関についての分析
・学校や学級の人間関係の満足度と学力の定着の状況等について分析し、具体的な改善支援策に生かす。
②「体験」と学力との相関についての分析
・体験の頻度と学力の定着の状況等について分析し、具体的な改善支援策に生かす。
③各学校、各地域の分析への支援
・検証改善委員会が独自に作成した学力調査結果の分析支援ソフトを各市町村教育委員会や各学校に配付し、詳細な課題の分析を行い、指導法等の改善を推進する。
2.「とやま型学力向上プログラム」の創造と発展
①課題別指導ヒント集「授業改善のためのかくし味」(学び合い編)による改善
・学び合う学習活動によって指導の成果が認められた実践事例を収集し、授業改善の手がかりを学力調査によって明らかになった課題について調査研究する。それをまとめ課題別ヒント集として全学級に配付し、児童生徒相互が教え合い、認め合い、支え合う学習活動の推進を図る。
②指導教材「美しいことばで伝え合おう」(話し合いDVD・音読CD)による改善
・意見発表の仕方の指導や友達の考えの聞き方の指導について、優れた成果がみられる学校を取材して、学び合う人間関係を醸成する学習指導の在り方を研究する。それをまとめて、コミュニケーション能力の向上を目指した指導教材として各学校に配付し、自分の考えを伝え合う学習活動の推進を図る。
③課題別指導ヒント集「授業改善のためのかくし味」(体験編)による改善
・体験を通して知識・技能等を活用する力を伸ばす実践事例についても調査研究する。それらをまとめて、課題別ヒント集として全学級に配付し、知識・技能等の習得と体験での活用の効果的な関連付けを目指す指導の推進を図る。
④指導教材「豊かな体験パワーアップシート」による改善
・学力・学習状況調査結果の分析から、体験と教科等での学習の関連を深めたり、体験の価値を高めたりする学習シートを指導教材として各学校に配付し、課題に応じて授業等での活用を推進し、知識・技能等を活用する力の育成を図る。
***香川県検証改善委員会***
1.調査結果を踏まえた指導方法の検証・改善を図る取組の促進
①市町教育委員会や学校の個々の実情に応じて具体的な指導方法の検証・改善を図るサイクルを構築し、教員の指導力の向上を図る。
・全国学力・学習状況調査等の結果を踏まえ、市町教育委員会や学校が行う、児童生徒の学力学習意欲・生活習慣の状況や課題等の把握・分析、明らかとなった課題に対する改善策についての検討、具体的な改善に向けた取組に対し、市町教育委員会の要請に応じて、大学教員や指導主事を市町教育委員会に派遣する。
必要に応じて学校訪問も行う。
②市町教育委員会及び学校における継続的な検証改善サイクルの確立に寄与する。
・各学校における児童生徒一人一人の改善につなげられるよう、派遣を通して得られた成果や効果的な取組を、県内全ての市町教育委員会及び学校に普及する。
2.「考える力」や「読む力」の育成を図るための指導方法の研究
主として、「活用」に関する問題の分析を踏まえ、知識・技能を活用し考える過程を重視した指導法を研究する。
・観察・実験、調査など実生活と関連付けた指導の在り方、様々な文章や資料を読んで、自分の意見を述べたり書いたりする指導の在り方など、知識や技能を活用する力の育成を図る教材を、国語、算数・数学、理科、社会の各教科毎に、小中学校で各1教材作成する。
・指導法の改善に役立てる評価問題を、国調査や県調査の対象教科となっていない社会科の小学校第6学年と中学校第3学年用で作成する。
3.家庭学習の支援の在り方の研究
児童生徒に家庭学習・基本的な生活習慣の改善を図るために、各学校の取組から効果をあげている児童生徒向け「学習の手引き」や保護者向け「学校だより」などの啓発資料を収集し提供する。
4.教育課程のPDCAサイクルの確立の支援
①市町教育委員会や各学校において、提供されたデータを効果的に活用できるよう、データの加工やグラフ作成等を支援するプログラムを開発する。
②プログラムの活用方法や、調査結果等の分析に基づく改善計画等の作成に関する研修会を開催する。
***福岡県検証改善委員会***
福岡県学力向上パワーアップ事業実施内容
学力向上を図る主体的な事業運営として、課題に応じた次の四つの事業を、学校が選択・実施できるようにする。
①小学校における専門的、組織的指導の充実を図るため、市町村教育委員会と協力し、小学校低・中学年の少人数指導、高学年の専科指導員の派遣する事業。
②国語科、算数・数学科における読解力、表現力、思考力に特化して、各学校の学習指導の充実を図るため、市町村教育委員会と協力し、各学校のリーダーとなるべき教員へ指導技術等を提供する研修会を開催する事業。
③学力に関して課題をもつ市町村教育委員会に対して、授業での補充的な学習や発展的な学習など、市町村教育委員会と協力し、きめ細かな指導のための支援を行うためのサポート指導員を派遣する事業。
④児童生徒の学ぶ意欲や学習習慣の定着、進路意識の向上、生活習慣の改善等を図るために、児童生徒を対象にし、大学生、保護者等を活用した土曜日セミナー等を開催する。
***仙台市検証改善委員会***
①教科指導のエキスパートを、課題のある学校へ長期的に派遣
・全国学力・学習状況調査と仙台市標準学力検査の結果とその分析により、教科指導に課題がある学校に教科指導のエキスパート(有識者:退職校長や大学退官者など)を長期的に派遣し、教員の指導改善のための支援と助言を行う。
②全国学力・学習状況調査と仙台市標準学力検査の分析結果に基づく教材開発
・これらの分析結果に基づき学習ドリル教材と学習ソフトを作成し、基礎基本の定着を目指すものだけでなく、思考力や判断力、表現力と知識活用能力の育成を図る教材を開発する。
③学校診断カルテ&処方箋〔仮称〕を学校に提供
・学習方略や学習環境、友人や教員との関係性などからる調査紙を作成し、学力調査との相関に基づき学習意欲等を因子分析などの分析手法により分析することで、学習方法や指導法の効果
***静岡市検証改善委員会***
学力調査の結果を踏まえて、検証改善のモデルとなる学校の分析・改善の手法及び内容の収集
①静岡市教育委員会は、学力調査を活用した改善を推進するため、各学校に、検証改善のモデルとなる学校(改善支援対象校)を公募する。
・各学校は、静岡市検証改善委員会が提案する分析手法例(児童生徒による分析例、地域保護者による分析例、大学による分析例、校内における分析例)を参考に、必要に応じて応募する。これにより、各学校の組織を構築(校内検証改善委員会の設置)し、日常の教育活動とつなげた各校の分析・検証計画を整える。
②静岡市検証改善委員会は、分析・改善の調査研究を行うため、「校内検証改善委員会の独自の分析手法が明確であること、学力調査の結果等を踏まえた課題が明確であること、学校の地域的な特徴のバランスをとること」を基準に改善支援対象校を小学校・中学校併せて13校を選定する。これにより、分析手法例、改善対象校の課題を把握する。
③静岡市検証改善委員会は、事業を周知し人材を活用するともに具体的な支援を実施するため、市広報誌を利用し、「学力向上チームスタッフ」として専任指導員(原則として、教員免許を有する者)を登録公募し、40人程度を任用し研修を実施する。これにより指導の向上を図り、人的側面の支援を充実させる。
④静岡市検証改善委員会は、改善支援対象校の課題に応じた改善を充実させるため、専任指導員を派遣するとともに、指導主事による指導助言を実施する。専任指導員は、家庭学習支援(2校)、放課後学習支援(9校)、少人数指導支援(5校)、在宅学習支援(1校)、合宿支援(2校)、体力向上支援(1校)、読書力向上支援(1校)を実施する。これにより、効果の見られる改善事例の収集に努める。
***京都市検証改善委員会***
①学力向上フォローアップシステムの構築
・「教育指導計画」「学力向上プラン」の内容や「全国学力・学習状況調査」「学力定着調査」「学習確認プログラム」などの分析をもとにした「学校経営目標・支援シート」を学校毎に作成し,よりきめ細やかな分析と必要な支援内容を学校と教育委員会が共有・共通認識し,総体として取り組む「学力向上フォローアップシステム」を構築する。
②学校支援策の成果分析・フィードバック
・「学力向上フォローアップシステム」による学校現状評価・分析をもとに,課題別・グループ別の学校支援(カリキュラムマネジメント,教科指導の改善,学習指導ボランティアの活用等)を講じるとともに,その成果を分析し,次年度以降の効果的な支援策の再構築につなげる。
③新たな学習教材の開発
・「全国学力・学習状況調査」等の結果分析をもとに,新たな学習教材の開発も含めた義務教育9年間を繋ぐ基礎基本の定着に向けたシステムの構築を検討する。
***福岡市検証改善委員会***
指定モデル校(8地域)において,「日々の授業改善」プログラム・家庭学習サポートプログラム・学校改善サポートプログラムの3つのプログラムからなる,福岡市「学び」総合プログラムによる,学校・地域(家庭)・行政との連携を一層強めた学力向上の取組についての実践研究を行い,その成果についての全市普及を図る。
実施内容(モデル校での実践研究)
①「日々の授業改善プログラム(検証改善サイクルを位置付けた授業改善)
・「授業改善の手引き」等を作成(検証改善委員会)して,教材や指導法・指導体制の工夫についての実践研究に取り組む。
・採点等の授業に伴う事務処理を行う授業サポーターをモデル校に設置し,教員が授業改善に一層専念できるようにする。
・妥当性・信頼性のある定期テストや家庭学習とも連動した教材を導入して,検証改善サイクルを確立させる。
②家庭学習サポートプログラム(宿題及び自学等の学習習慣を育む地域の支援体制づくり)
・学校の空き教室や公民館・集会所等に家庭学習サポート教室を設置して,家庭での習慣作りが困難な児童生徒に対して,家庭学習サポーターによる2段階(宿題を必ず仕上げる習慣づくりから自学力育成サポート)の学習支援をする。
③学校改善サポートプログラム
・モデル校で使用する教材及びテスト等を検討・選定するとともに,授業サポーター,家庭学習サポーターへの研修を行う。
・学校改善アドバイザーによる学校訪問(各地域2回)を実施して,実践研究の進捗状況の確認と指導助言を行う。
・家庭学習教材の提供と,家庭学習サポーターの地域への設置,支援体制確立のための研修会を開催する。
実践研究の成果や課題を集約し,関係機関等を含め全市への啓発を図るための資料を作成する。
***福井県検証改善委員会***
①学力調査の結果をふまえた学校改善の支援
・全小・中学校において、学力調査の結果に基づき「学力向上プラン」を作成し、指導力を高めるための取組みを充実・強化していく。
・地域または学校を指定し、学力向上プランの作成や改善に向けての取組みにあたり、支援員を配置するとともに、大学教員や指導主事等の講師を派遣して、指導・助言をする。また、他校を視察する機会を設ける。
・各学校の作成した「学力向上プラン」を収集し、成果をあげている事例を紹介・普及する。
②基礎・基本を定着させるための教材の作成
・児童の漢字学習に対する興味・関心を高めたり、効果的に漢字を指導したりするための教材を作成する。
・各学校で取り組んでいる基礎・基本を定着させるための実践例を収集し、基礎・基本を充実させるステップアップ算数問題集を作成する。
***山梨県検証改善委員会***
①大学との連携による活用型学習ワークシートの開発
・活用型学習のワークシートを開発し,ホームページ(HP)上にアップする。各学校では,このワークシートをダウンロードし,授業での活用を図る。さらに各問題の趣旨やねらい,できない子への支援方法などを動画と音声によって有識者らが解説することで,活用型学習への理解を深める。
②基礎基本の定着を目的とした反復・習熟度プリントの配信
・インターネットを利用した学習システムを導入し,既習内容の確実な習得と主体的な学習習慣を身に付けられるようにする。
③「活用型」授業の創造に向けた「国語科授業改善の手引き」の作成
・活用型授業事例や教育効果などをリーフレットにまとめ,「活用型」授業の具体的なイメージを各教師がもてるようにする。
④リーフレット「地域・家庭からの学力」の作成
・「家庭での学力の理解」が学力向上の鍵である。このため,社会教育課との連絡・連携を図りながら「学力の正しい理解とその向上」を内容としたリーフレットを作成し,「確かな学力」の向上を目指していく。
⑤「授業カウンセラー」の導入
・教師同士の情報交換や刺激の少ない教師に具体的な授業提案や指導方法をアドバイスし,個々の教師の授業力を高める。これらの5つを短期の取組とするとともに,中長期の取組との連携を図り効果的に進めていく計画である。
***奈良県検証改善委員会***
①授業や家庭学習等で活用する学習資料集「わくわくワーク」の作成・配付
・全国学力・学習状況調査の結果からは、知識に関する問題は概ね満足できる状況であったと考えられるが、正答率70パーセントを下回る児童生徒も存在しており、より一層基礎・基本の確実な定着を図る取組が必要である。また、多くの児童生徒に知識や技能を「活用」することに課題があるということも分かった。そこで、基礎・基本にかかわる力をさらに定着させることを目的とした学校や家庭での繰り返し学習等に活用できるワークシート集(問題集)を作成する。
②教員の意識改革(授業改革)に向けての啓発資料(クリアフォルダ)の作成・配付
・知識・技能等を実生活の様々な場面に活用する力や様々な課題解決のための構想を立て、実践し、評価・改善する力を身につけさせることの重要性等を解説した資料を作成し、全教員に配付する。なお、その資料が常に教員の目に触れるようクリアホルダーに印刷し、配付することで、より一層の浸透を図る。さらに、クリアホルダーの一部には、具体的な授業の組み立てがイメージできるような内容も加え、授業改善につなげる。
③「全国学力・学習状況調査の結果分析・活用の手引き」の作成、配付
・各学校において、調査結果をきちんと分析、活用して学校の指導方針や指導計画の作成に生かされるようにするため、データの解釈や分析、考察の過程や考え方の手引き書を作成し、各学校に配付する。
***島根県検証改善委員会***
①研修プログラムの立案
・調査結果等から、特に算数・数学に課題が多く見られたため、算数・数学の校内研修および研修講座等の充実に向けた調査研究を行い、研修プログラムの立案を行う。
②学習習慣の確立に向けた学校への支援
・島根県は、平成19年度から学習習慣の確立に向けた「学習環境構築事業」を実施し、「学習プリント配信システム」を構築し、各学校が活用できる環境を整えた。そのシステムのより効果的な活用のため、優れた実践を支援し、その成果の普及を図る。
③学力定着確認チャートプログラムの開発
・全国や県との比較により、各学校が自校及び児童生徒一人一人の強みや弱みを確認でき、課題解決のための資料を作成するプログラム等を開発し、学校や市町村教育委員会の学力向上策の改善を促す。(来年度も継続して使用できる仕様にする。)
④学力向上プラン作成への支援
・市町村教育委員会が学校支援の方針を定め、また、学校がそれぞれの課題解決に向けた学力向上プラン等を作成、実施するにあたり、助言を行うため、委員または作業部員の派遣を行う。
⑤啓発用パンフレットの作成
・本委員会が報告書にまとめた学校改善支援プランをわかりやすくパンフレットにまとめ、全教職員に配付し、学校における学力向上策の改善を促す。
***宮崎県検証改善委員会***
①小・中学校の国語、算数・数学における課題解決を図る授業研究会の実施
②授業力向上研修会の実施
・市町村教育委員会や学校の研修会に大学教員等の講師を派遣し、習熟度別の少人数指導の在り方や読解力指導などの授業力の向上を図る。
③各教科研究団体への支援の実施
・県内の研究団体に研究助成を行い、その成果を取りまとめ公開する。
④学力向上サポーターの配置
・改善計画書の内容に実効性が見られ、改善への見通しが十分にあるなど有効な手立てを有している学校に対して、学力向上サポーターによる人的支援を行い、学力向上体制を整備する。
⑤優れた実践校の取組の効果的な活用
・効果的な実践を行っている学校の取組を実践事例集としてまとめ、県内各小中学校へ配付し、普及啓発を図る。
⑥デジタル資料室(仮称)の開設
・「課題解決に向けた授業研究会」や「過去の学力調査の分析結果」等をデジタル資料としてまとめ、県内どこからでも活用できるよう環境整備を行う。
⑦「こんな子どもが学力が伸びている学力向上10のポイント」の配付
学力との相関関係が大きい質問紙調査の結果を10項目選び出し全小中学校に配付する。
***神戸市検証改善委員会***
検証改善委員会内に三つのワーキングチームを設置し、連携協力大学等の支援も得ながら、以下の内容について実施する。
①教員のさらなる授業力の強化のための算数・数学の「重点指導事項集」の作成
・今回の全国調査の結果において課題が明らかとなった領域や単元を含めて、教員対象の「重点指導事項集」を作成する。算数・数学科を対象とし、基礎的・基本的な知識・技能のいっそうの定着に資する内容とする。
②より効果的な定着を目指す自主学習用教材の作成
・児童生徒が学習した授業内容を、授業時間外でより効果的に反復・定着できるよう、国語科、算数・数学科における自主学習用教材を開発する。朝の学習、放課後の学習、家庭での学習等での自主学習用教材として位置づけ、活用を図る。内容的には、基礎的・基本的な知識・技能の習得を主眼としつつ、可能な限り、思考力・判断力・表現力の育成につながるような要素も盛り込んでいく。
③児童生徒、保護者を対象とする「学習・生活の手引き」の作成
・家庭での生活習慣や学習習慣づくりのポイント、予習や復習に取り組む際の注意点、教科毎の学習の進め方、等について具体的に記載したものとする。リーフレット形式にし、全保護者に配付する。
④学力調査の結果等の分析より作成した改善計画等に基づく取組のうち、成果をあげている事例を収集し、最終報告書で普及を図る。
* 6 *******************
2009年1月3日「教師は「庭師」のプライドを保てるか?」
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「竹中式マトリクス勉強法」(幻冬舎)では、竹中平蔵自身が受けた批判が3つのパターンに分類されています。
一つは、「コントラリアン型」批判。
いつも反対のことを言うもの。
改革を行えば拙速だ、と言い、改革しなければ「遅い」と言う。
批判のための批判でしょう。
こんなエピソードが紹介されています。
小泉元首相が、総理在任中にある記者から「最高権力者になったと自覚するときはいつですか?」の質問に、「そうですね。あんまりないですが、強いて言えば、何をしても否定されることですかね」と答えたとのこと。
二つ目は、「永遠の真理型」批判。
これは「常識的」といわれる大人に多いもので、「長期的視点に立てば・・」「相手の立場になって考えろ」とか、「その通りです」と言わざるを得ないことを言うタイプ。
「だから何?」と見られていることが、あまり自覚できていないので念仏のように同じことを繰り返すのです。
三つ目は、「ラベルを貼る」型の批判。
「決めつけ」の激しいタイプは、だれだれはこういう立場からしか見ていないとか言って、問答無用にしてしまう批判。
そして、三つの型に共通しているのが、対案がなくて批判だけしているということ。
教育改革を批判している人の中にも、このようなタイプが多い(特に二つ目が多い)のですが、マスコミ等に登場しているのは、庭師の仕事に注文をつけている植物学者の立場のような人ばかりです。
というより、政策批判というのはだれにでもできることで、「市場主義原理の導入に反対」という批判は経済を知らなくてもできてしまうわけです。
教師はとても厳しい立場におり、市場主義原理の導入に反対という側についてしまうということは、場合によっては自分たちの資質・能力に信頼性がないことを認めることになってしまう。
大学にしろ公立学校にしろ、一度正教員になってしまえば、一生安泰(免許更新講習で職を失う人はいないでしょう・・・この制度のせいで職を失うことになったと批判する人はいるでしょうが・・・)
だから教師の肩代わりとして元教師で大学に籍をおく人などが、教師のニーズを満たすために反対する。
しかし、実は自分自身もその原理のもとでその立場にいるか、その場の立場が危うくなっている人間かもしれない。
いただいたある年賀状に、「教師の能力に比例して学校全体も右肩下がりになっている」と書いている人がいました。
教育改革への批判を私も全く理解していないわけではないですが、あえて言えば、まだ今まで行われてきたことはいずれも「改革」などというスケールの大きなものでは全くありません。
財政支出の規模など金銭面のことを言っているわけではありません。
総合的な学習の時間の導入などは、一部の研究校では何十年も前からやってきて、成果が上がっていました。
学校選択自由化にしろ免許更新制にしろ、授業時数の増減にしろ、同じようなゴムが伸びたり縮んだりしているだけの改革であって、「本物の改革」はまだまだ先の話になりそうです。
「本物の改革」とは何か。
それは教師の意識改革に他なりません。
教師の意識の何が問題であるかを、今後も問い続けていきたいと思います。
教師が自身のプライドを保つ方法は一つしかありません。
教師が変わり、子どもが変わることです。




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