「模擬授業」は何のために行うか?
模擬授業ではなくても,通常の会話で「授業がうまくできそうかどうか」はたいてい分かりますが,模擬授業が始まると「スイッチ」が入ったように生き生きする人がいます。
教師経験のない事務方の人たちは,たいていこの「生き生きした姿」にだまされて「採用」したくなってしまいます。これが間違いのはじまりです。
こういう「模擬授業」の「演技」が通用しない場所。
それが学校現場というところです。
もし大学等で模擬授業の実践を「授業力向上」のための「重要要素」と考えている人がいたとしたら,そもそも「模擬授業」はだれにとっての何のために行うものなのかを認識しておかなければなりません。
ただの「一人芝居」でよいのであれば,家で鏡に向かってやればよいのです。
勘違いしている人たちが行っている「模擬授業」は,「先生ごっこ」に過ぎません。
まず単純に,これだけのチェックをしてみて下さい。
1 50分の授業をしていますか。
2 30人以上の人を相手に授業をしていますか。
3 生徒が実際に使用する教材(教科書は資料集)は全員が持っていますか。
4 生徒役の人が主役になる授業をしていますか。
5 (学習内容に関する)評価のための問題やアンケートをつくっていますか。
4番目のチェックポイントは,指導案の段階でチェックできるのですが,「30人以上の生徒の学習進度がバラバラになった状況下での動き方」などについては,模擬授業を行わないと「練習」になりません。
模擬授業についてあれこれ言っても,正直あまり意味はありません。
たいていは,模擬授業を行う前の段階が問題なのです。
徹底的な教材研究が前提になければ,教師の仕事はわざわざ試験をやってまで人を選ぶ必要のあるものではなくなってしまいます。
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