教員の人数を増やすよりも効果的なことは? ふり返り366日【08/7/01】/昭和15年のブーム
いよいよ,教師にとってはその使命感が問われる時代になっていきそうです。
「給料が下がることで教職を志望する人の質が下がるのではないか」
という危惧を抱いている人がいるようですが,少なくとも,「高い給与・職の安定性」だけを目当てに志望する人が減るのはよい効果かもしれません。
低い給与でも子どものために汗水たらして精一杯働きたい,という若い人がいてくれることはいいことでしょう。
給与を減らせば,教員を増やすことができます。
そして,教員を増やしたいと主張する人は,1学級の子どもの数を少なくすることを実現したい,とも考えています。
しかし残念ながら,学級の子どもの数が少ないほど効果的な教育が展開できる,という主張に十分な根拠があるとは言い切れません。
少人数ならではの問題に悩んでいる,へき地の学校も多いのです。
少人数指導を行って苦手教科を克服させたいというのなら別ですが,人数が多い方が活気があり,切磋琢磨があり,協力関係があり,複雑な人間関係の中で調整能力がつき・・・などの教育効果も捨て去りにくい面があります。
また,少人数指導は,準備に非常に時間と労力が必要になります。実は負担感はかなり増大することが考えられます。
それは「児童が学習内容を確実に身に付けることができるよう」にする責務がより明確になるから,という側面もあるからです。
本気で仕事をしている人にとっては,教員を増やすよりも,教育課程の編成をより柔軟に行えるようにしてくれた方が,よほど子どものためになると考えていることでしょう。
そのときネックになるのは,「本気」の加減が一律ではないことです。
管理職が「本気」になると,「やる気のなくなる」教師が増えるのも困った問題です。
それより,管理職が「無気力」な方が教師の「やる気」が高まるという今の学校の仕組み自体を考え直した方がいいのかもしれません。
ふり返り366日【08/7/01】 小学校学習指導要領解説が公開されています「少人数指導」というのは通称で、学習指導要領では「グループ別指導」とよんでいる指導のことです。
「少人数」と言ってしまうと、それは何人以下の指導のことなのか、などと説明しなければならないのを避けるためでしょう。
それは相対的な見方もできて、児童・生徒数が少ない学校で、学年に数人しかいない場合、40人学級から見れば常に少人数に見えてしまう学習集団が「グループ別指導」を行おうとすれば、3人と4人に分けたりすることができます。
小学校学習指導要領総則で「指導計画の作成等に当たって配慮すべき事項」の一つとして示されている「指導方法や指導体制の工夫改善など個に応じた指導の充実」については、現行と改訂版にほとんど変化はありません。(「教師」→「教師間」だけかな?)
引用すると、以下の通りです。*******************
各教科等の指導に当たっては、児童が学習内容を確実に身に付けることができるよう、学校や児童の実態に応じ、個別指導やグループ別指導、繰り返し指導、学習内容の習熟の程度に応じた指導、児童の興味・関心等に応じた課題学習、補充的な学習や発展的な学習などの学習活動を取り入れた指導、教師間の協力的な指導など指導方法や指導体制を工夫改善し、個に応じた指導の充実を図ること。
*******************本日、文部科学省のHPに、小学校学習指導要領の解説がUPされました。
よたよたあひるさんもふれている、「少人数指導」への配慮事項として、解説には以下のような内容があります。
こうした指導方法の工夫はすべての児童に対応するものであるが,学習の遅れがちな児童には特に配慮する必要がある。各学校で学習内容の習熟の程度に応じた指導を実施する際には,児童に優越感や劣等感を生じさせたり,学習集団による学習内容の分化が長期化・固定化するなどして学習意欲を低下させたりすることのないように十分留意する必要がある。また,学習集団の編成の際は,教師が一方的に児童を割り振るのではなく,児童の興味・関心等に配慮し,自分で課題や集団を選ぶことができるよう配慮することも重要である。その際,児童が自分の能力・適性に全く合致しない課題や集団を選ぶようであれば,教師は適切な助言を行うなどの工夫を行うことが大切である。
また,保護者に対しては,指導内容・指導方法の工夫改善等を示した指導計画,期待される学習の充実に係る効果,導入の理由等を事前に説明するなどの配慮が望まれる。
一般の方は学習指導要領の解説までは読まれないと思いますが、小中学校の教師でも、「総合的な学習の時間」の担当者以外で、総則の解説を読み込んでいる人はきっと少ないでしょう。
各学校は独自の「教育課程」を編成しなければならないのですが、学習指導要領をしっかり読み込んでいかないと、教育委員会が受理するときにつっこまれた質問をされて答えられなくなってしまいます。
受理する時、指導主事は、解説までしっかり読み込んでおかないと、つっこんだ質問ができません。
学校が教育課程を編成するとき、教務主任や副校長だけが練るのではなく、学年や研究部の教師の意見がどれだけ反映できる仕組みになっているかが問われなければなりません。
解説の以下の部分を知らないということにならないよう、徹底してほしいものです。
かなりつっこんだ学校の指導体制のあり方を述べています。もちろん法改正の趣旨をふまえた内容です。
昔からしっかりやってこれている伝統があるところは慌てる必要はないのですが。**********************
指導体制の工夫改善を進める上で校長の果たす役割は大きいので,校長は指導力を発揮して,指導体制の活性化を図るよう努めることが必要である。また,校長や副校長,教頭が授業の指導を行ったり参加したり,学習指導について経験豊かな指導教諭などの教師が他の学級の授業を支援したりするなど,様々な工夫をすること
が求められる。さらに,指導案の作成,授業研究などを学年会や教科部会,学校全体などで行い,広く意見を交わし合い,教師間で情報の共有を図るような機会を設けたり,それぞれの役割分担を明確にすることも,より効果的な指導を行うためには大切である。なお,教師が教材研究,指導の打合せ,地域との連絡調整などに充てる時間を可能な限り確保できるよう,会議の持ち方や時間割の工夫など時間の効果的・効率的な利用等に配慮することも重要であろう。
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昭和15年(1940年)のブーム・流行
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○野草食が流行し,雑草のパンや桑の葉パンなども登場。
○雑木をガスで焼いた焼きゲタが流行。
○大阪で真綿で作った鏡餅が流行。
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*流行語
「バスに乗り遅れるな」「紀元2600年」
「八紘一宇」「南進」「一億一心」「節米」
「万世一系」「さあ働こう」「大政翼賛」
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