テストの点をとるための「関心・意欲・態度」? ふり返り366日【08/4/24-3】
子どもたちにとって教科の知識や技能を「活用する」「使う」場というのは,今まで普通は「定期考査」「小テスト」「単元テスト」「業者テスト」「入学試験」などのことに限られていました。
ですから,このような「場」での効率的・効果的な活用方法を習得させる・習熟させる場としての塾というものが機能していました。
テストというものの性質上,どれだけ短時間で正確に「正解」にたどりつくかが重要であって,「横道」にそれてはいけないのが原則です。
しかし,「本物」の活用力を調べるためのB問題では,1つの問題を答えさせるのに2ページを使って条件や正解に結びつけるための資料を提供したりしています。
PISA型学力・読解力を想定に入れていることは明らかですが,実はこのようなタイプの学習指導は,学習指導要領の中で示されているものでした。
PISAに刺激を受けたとは言っても,そのような能力の育成を今まで無視していたわけではなくて,教師によって軽視されてきたと言ってよいわけです。
観点別学習状況の評価を出すときに多くの教師が悩んでいたのが,関心・意欲・態度や思考・判断のような,「測定することが困難」な能力の評価でした。
これらの観点を評価するのに適した問題が,徐々に開発されたり,観点の能力を育成できる授業が行われたりするようになれば,現場の実感としての「学力観」にようやく広がりが生まれ始めることでしょう。
「テストの点をとるための関心・意欲・態度」を育成するのが教師の仕事ではないわけです。
教師たちは口々に「でも入試が変わらなければ・・・」と言いますが,上位校は別として,公立高校の入試得点の半分は内申点でしょう。この内申点で本来の学力をきちんと評価してあげることが,教師としてのつとめであると考えられます。
08/4/24 教師がB問題から学ぶべきこと教師にとって、「学力調査」は他人事ではありません。
中学生全員を対象にする調査であるということは、その指導者も全員、問題の内容を把握する、ということです。
公開されている問題を見れば明らかなことですが、学力調査は、新学習指導要領実施後の具体的な指導法やそのときに扱う教材のあり方、また評価方法を提示していくねらいもあるようです。
新学習指導要領総則の「教育課程編成の一般方針」には、「基礎的・基本的な知識及び技能を確実に習得させ(・・・A問題で評価)、これらを活用して課題を解決するために必要な思考力、判断力、表現力その他の能力をはぐくむ(・・・B問題で評価)」とあります。
調査は抽出でもよいとする主張もありますが、国が全児童・生徒(これからの国民)だけでなく、指導者であるすべての教師に求めているメッセージを直接伝えきるところに意義があると考えます。
2年後くらいには、観点別評価のあり方も変わると思いますが、そのころまでには各教師の責任で作成がまかされている「定期考査」もがらっと変わったものになっているでしょう。
学力調査は評価のためのように一般の人は考えるかもしれませんが、学力向上に欠かせないのは生徒の努力だけでなく、教師の指導力の改善もあります。B問題がつくれる発想が授業にも求められているわけです。
定期考査の問題を分析する塾があれば、これまでの学校の不十分な評価のあり方が浮き彫りになるはずですが・・・・。
08/4/24 B問題が入試まで波及するかどうか「解くことに意味を感じる」問題、「解いたことで改めて学んだ実感が持てる」問題づくりが、今後ますます求められてきます。
このとき、出題者には豊かな構想力と表現力が、解答する生徒には読解力・解釈する力と表現力が、それぞれ問われることになります。
本来、授業そのものもそうあるべきなのですが。
今後、入試問題まで波及できるかどうかが課題です。
公立の中高一貫校の適性検査は、B問題の傾向が強いわけですが、これはある程度の国語力(読解力)がついていれば解けてしまいます。(私の予想では、中高一貫校の場合、文系ではある程度の成果が残せそうですが、理系のセンスがあまり問われないで選抜されているため、大学入試でどれだけ実績が残せるかが課題になりそうです。)
採点に時間がかかったり、採点基準の難しい入試は実施者が嫌がるでしょう。
後で問題に対するクレームが浮上するかもしれません。
学習指導や評価の数々の壁については、「最終的には入試が変わらなければ・・・」と長い間言われ続けてきました。
流れは、急激に変えることはできません。
移行期間の授業時数増の報道がありましたが、時数が増えるだけの物理的な変化だけではもちろん不十分です。入試が学力問題の化学変化をおこせるかどうか・・・。
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