北朝鮮と「他人事」 ふり返り366日【08/3/27-2】
北朝鮮の動向から目が離せないタイミングですが,『41歳からの哲学』を読み直してみると,6年前の平成15年のときも同様の騒動があり,池田晶子が「ミサイル,それがどうした―北朝鮮」という文章を書いていました。
そこで池田晶子は,「他人事」というキーワードで対外戦争に対する若者の反応を批判していました。
イラク戦争の折に,ネット上で反戦の声を上げた若者たちを扱った番組を観た。・・・同じ時代に,同じ地球上で,戦争が起こっているというのに,何もできない自分に無力感を覚える。と,彼らは言っていた。・・・つまり彼らは,無力感を覚えるというまさにそのことによって,戦争を他人事だと思っているのである。自分のことではないと思っているのである。・・・何もできない自分に無力感を覚えるほどに,暇なのである。自分の人生を他人事みたいに生きているから,そういうことになるのである。(・・・は略した部分)
このような考え方は,「他人事」ではすまされません。
なぜ「他人事」という言葉に引き付けられたかというと,どれくらい前からかわかりませんが,学校現場を「他人事」の空気が徐々に侵食しているように思えているからです。
あるクラスには,いじめが全くない。
これは,非常にドライに考えてみると,すべての子どもがあらゆることに対して「他人事である」という態度をとっていれば,確かにいじめは絶対におこらないのです。
いじめられている子どもがいて,見て見ぬふりをすればその生徒がとっているのは「他人事である」という態度ですが,いじめをしている生徒にとっては「他人事」ではないわけです。
教師の側には,「他人事」の空気をかもし出す人間はいないでしょうか。
教育関係者たちは,「教育の評論家になったら教育者としては終わり」という根強い嫌悪感をもっていますが,それは,学校現場にも,「評論家的教師」がいて,すぐ目の前で起こっていることに対しても,まるで「他人事」のように批評・評論するような,わかりやすく言ってしまえば,「無責任のかたまり」みたいな態度をとって反感を買っていることがあります。
決して多くはそうではないかもしれませんが,各学校に一人,または学年に一人くらいの割合で,評論専門の教師がいるでしょう。
「われわれ教師は無力な存在ですね」とか,「わたしたちには発言力がありませんからね」とか・・・。
08/3/27 歳をとるほど時間が早く流れる理由『41歳からの哲学』(新潮社・・・週刊新潮の連載をまとめたもの)の中で著者の池田晶子は、「歳をとるほどに時間がたつのを早く感じるのはなぜか」という問いに対して、次のような仮説を述べています。
>子どもの時間が遅いのは、肉体が完成に向けて努力しているからで、山登りにたとえると、頂上を目指して登っている最中だからである。そして、いったん頂上に登ってしまえば、あとは下りるだけ。下りる方が登る方より早い。あるいは作るより壊す方が早い。
こういう話を聞くと、「ただ漫然と下りる」のはやめよう、と自戒の念が持てるようになります。
歳をとっても、学校を建て直すような経験をするときは登山と同じで、1年が経つのが異様に長く感じる(多くの教師は早く土曜日曜にならないかと月曜から考えている)ものです。いったん落ち着いてくると、ああ、もう卒業か、ということになる。後者の感想というのも悲しいものです。油断しているとまた奈落の底に落ちてゆく。
「縦走」という道もまた生きがいを持てる生き方かもしれません。
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