会議の「問題児」とその活用
桑畑幸博著「目に見える議論~会議ファシリテーションの教科書~」(PHP研究所)には、「会議の問題児」として、以下のようなタイプが紹介されています。
○評論家タイプ
とにかく揚げ足取りが得意。
「客観的に見て~」が口癖。
「自分が教えてやろう」という発言が多く、他者のモチベーションを下げる。
自分からはアイデアはあまり出さない。
○暴君タイプ
とにかくわがまま。
「とにかく~」「だから~」が口癖。
自分の考えが正しいと信じ込んでいるため、人の話に耳を傾けない。
なまじ権限をもっていると、他者がいやいやでも従ってしまい、会議の質が落ちる。
○哲学者タイプ
少しでも疑問を感じたらだまっていられない。
「なぜ?」「そもそも~」が口癖。
自分の都合で議論を止めてしまう。
会議が長引く原因になる。
本人の意見も抽象的であり、他者が理解するのにも時間がかかる。
○不思議系タイプ
深く考えずに思いつきで突飛な発言を言う。
「今思いついたんだけど・・・」が口癖。
論点をころころ変えて、議論や他者を振り回す。
何度も脱線し、会議を非効率なものにする。
学校の職員会議でおなじみのタイプはいないでしょうか。
このような「問題児」は、本人があえて会議をかき乱そうという意図でない限りは、今、何をどのように議論すべきかを司会者が示すことで、軌道修正が可能でしょう。
さらに、ファシリテーターの技能として、このような「問題児」の特性を特定の局面で「活用」する方法も紹介されています。
○評論家タイプには・・・会議の進行で困ったとき、論点や議論の切り口を考えてもらう。
○暴君タイプには・・・事前に根回しをして、他の問題児への対処など、会議で何らかの役割を担ってもらう。
○哲学者タイプには・・・場が安易に方向に流れたり、同調的意見が多いときに、ご意見番として発言してもらう。
○不思議系タイプには・・・「発散のフェーズ」で突飛な意見を述べてもらい、何を言っても良い雰囲気を作る。
年度末の忙しい中、行われる次年度関係の議題は、異動する教師も含めて、真剣に考えてほしいものですが、「忙しさ」の中に流されがちです。
いつもの「問題児」ぶりを発揮しにくい会議になりがちですが、時間をかけただけのことはある、という効力感を生み出すことが、おそらく実施場面で生きてくると考えられます。
「会議のあり方」検討会というのを立ち上げたりして、その会議で会議のことをしっかり議論し、「無駄」「浪費」という感覚が消える会議=共通理解・合意形成、やる気醸成の場としての会議になるようにしていきたいものです。
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