志水宏吉著「公立学校の底力」(ちくま新書)の終章に紹介されている「スクールバス togetherg号」という「力のある学校」のモデルは、一人の教師にとっての「学び」から子どもたち一人一人への「学び」のモデルとしても転用することができそうです。
モデルは、バスの8つのパーツ・・・エンジン、ハンドル(アクセル・ブレーキ)、前輪(左右)、後輪(左右)、内装(インテリア)、ボディ(外観)に、それぞれ以下の要素と下位項目を対応させています。
1 気持ちのそろった教職員集団
(Teachers)
①チーム力を引き出すリーダーシップ
②信頼感にもとづくチームワーク
③学び合い育ち合う同僚性
2 戦略的で柔軟な学校運営
(Organization)
①ビジョンと目標の共有
②柔軟で機動性に富んだ組織力
3 豊かなつながりを生み出す生徒指導
(Guidance)
①一致した方針のもとでのきめ細かな指導
②子どもをエンパワ-する集団づくり
4 すべての子どもの学びを支える学習指導
(Effective teaching)
①多様な学びを促進する授業づくり
②基礎学力定着のためのシステム
5 ともに育つ地域・校種間連携
(Ties)
①多様な資源を生かした地域連携
②明確な目的をもった校種間連携
6 双方向的な家庭とのかかわり
(Home-School link)
①家庭とのパートナーシップの推進
②学習習慣の形成を促す働きかけ
7 安心して学べる学校環境
(Environment)
①安全で規律のある雰囲気
②学ぶ意欲を引き出す学習環境
8 前向きで活動的な学校文化
(Rich school culture)
①誇りと責任感にねざす学校風土
②可能性をのばす幅広い教育活動
このモデルを応用して望ましい「授業」「学習」の在り方を適用させてみると・・・
1 エンジン
→信頼される授業者
2 燃料
→関心・意欲を高める教材
3 カーナビ
→目標と指導が一体化している指導計画
4 ハンドル(アクセル・ブレーキ)
→戦略的で柔軟な学習指導
5 前輪
→習得と活用のバランスが図れる学習指導
6 後輪
→全体の指導と個に応じた指導のバランスが図れる学習指導
7 内装とボディ
→効果的な学習が展開できる教具の活用
8 運転免許・更新、車検
→2~7を準備・実現するのに必要になる知識・技能等、指導の評価
授業のイメージとしては、教師がドライバーで生徒が助手席に座り、運転技術を学ぶ場面と、教習所のように生徒がドライバーで教師が助手席に座り、さまざまなアドバイスをするというようなものが考えられます。
ただ、個人教授のように一対一の教育ではありませんから、教師は多くの生徒が乗車しているバスの運転手のようになりがちです。
そこで、「学び合い」という学校独自の学習スタイルがしっかりと意図されなければならないことになります。
モデルとしては不完全ですが、教師が共有できる授業像の軸をつくりあげたいものです。
最近のコメント