「シュガーレス化」に耐えられない「シュガー教員」
内田樹は入社したばかりの新入社員が転職サイトに登録したり、実際、すぐに辞めてしまう理由について、「評価が遅いことを受け入れられないこと、個人の努力が報酬と相関しないのが不満であること」、そしてその背景として「受験勉強の構造」があることから説明しています。
ただ、受験勉強とその結果が、必ずしもすべての人の成功体験や本来の希望に結びついているわけではないので、その説明では不十分でしょう。
『甘えの構造』までさかのぼることができるし、最近では「シュガー社員」の名付け親である田北百樹子の言葉にも考えさせられることが多いのです。
さすがに「シュガー教員」という言葉まで発生してくるとは思えませんが、もし内田樹が言うように「若者全般」「社会全般」にあてはまるような「何か」があるとしたら、公務員になった人間にも出現しないとは言えない問題でしょう。
一方で、学校現場の問題が「教師の甘さ」「職業人としての意識の甘さ」によるものだという反省があることをふまえると、教師の場合は若手に限らず「シュガー教員」が多いと言えてしまうのかもしれません。
シュガー社員の5つのタイプにあてはまる教員は果たして想定できるかどうか。
まずタイプⅠは、「ヘリ親依存型」シュガー社員。
ヘリ親とは、ヘリコプターペアレンツのことで、上空から子どもを見守っていて、何か問題が起きると急降下して介入する親のことです。
私が知るところ、「担任をはずされた」「希望にそわない異動を命じられた」場面で「親」が登場したことがありますが、さすがにこれはまれな話でしょう。
うちにもそんな若いのがいた、なんてことがあれば危ない。
後、体調を崩して学校を休むときに、本人の代わりに親が学校に連絡するというような教師はいないでしょうか。
「甘さ」は「甘やかし」が原因。最も納得しやすい説明です。
このようなタイプの人は、同僚によって甘やかしてもらえることがわかると、かえって安定して「居座る」ことになるかもしれません。
タイプⅡは、「俺リスペクト型」シュガー社員。
(威厳が高く、自分自身をリスペクトして、異常に自己評価が高く、上司に叱られても責任転嫁するタイプ。
自分の教科の専門性については、自信を持っていなければ始まらないのでしょう(最近は大学院を出て教職につく人も増えてきている?)が、さすがに「こんな(くだらない)仕事はできません」という若手はいないでしょう。
このような若手は、教師を全く信用していない、リスペクトしないタイプの子どもの指導に手こずりやすいこと、嫉妬深く学歴コンプレックスが強い教師にいじめられやすいことを除けば、「いつか気が付くときがくる」と長い目で見てあげることで自ら成長してくれる日がくるかもしれません。
都立高校でたとえば進学指導重点校から、生活指導困難校に異動させられると、さすがに戸惑いも大きいでしょうが、だからと言って辞めてしまう教員はいないでしょう。
ただ、島しょへの異動を命じられた教師が退職し、また採用試験を受けた、ということはありました。
社会人としての「辛さ」に耐えられない「甘さ」。
自分から尊敬できる先輩が職場で見つかれば、成長のチャンスになりそうです。
タイプⅢは、「プリズンブレイク型」シュガー社員。
刑務所から脱獄するように、閉じ込められれていると思い込む会社を脱する、つまり退職または離職するようなタイプ。
児童や生徒はそのようなタイプがいるでしょうが、さすがに教員にはいないでしょう。
ただ、職員室にはいつもいないで、準備室にこもってしまっているような教師は似たような傾向があるのでしょうか。
タイプⅣは、「ワンルームキャパシティ型」シュガー社員。
応用力や創造性がなく、極めて限定的な行動・思考しかできないタイプ。キャパシティが少なく、新たな考えを取り込めない。
これはタイプというよりは、経験が少なく知識や技能も未熟な多くの若手に共通している傾向ではないかと思われます。ただ、あまりにそのキャパが小さすぎると、どうしてこのケースでその行動・指導になるの?という場面が訪れるかもしれません。これも経験次第でしょう。
タイプⅤは、「私生活延長型」シュガー社員。
主に消費に終始する個人の私生活の行動や思考を、営利性や生産性を求める会社に持ち込んでいるタイプ。
企業の場合は「公私混同」ではなくて「個私混同」とでも言うのでしょうか。
学校という教育現場は、非常に厳しいように見えて、長年にわたって甘えようと思えばいくらでも甘えられる環境にあり、さらに公務員という身分上の「おいしさ」ゆえ、一度採用されると「甘え系」で(しかも「みんないっしょ」に甘え系でいられるため)離職する人間は少ないことが最も大きな特色でしょう。
結論としては、「生徒への指導が甘い」「職業人としての自覚やモラルが足りない」という意味での「シュガー教員」なら昔からたくさん存在しているのであり、職場に求められている「シュガーレス」の文化が浸透していくことへの抵抗が強い背景には、「既得権益の維持」「過ごしやすさの保持」という行政機構と全く同じ図式が見えてくる気がしています。
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