社会科教師の逆コンピテンシー その5 発問のねらい
第5回のテーマは、「対人指導力(対人サポート力)(②対人のB調整・統合力)」です。
「対人関係力」不足の教師に「対人指導力」は期待できません。
いきなり余談で申し訳ありませんが、近隣の女子校の生徒のスカート丈が短くなってきていることに注目しています。
女子の服装指導・・・多くの学校の悩みでしょう。
近隣の女子校の場合、指導の放棄が始まった現れです。
指導の中心となっていた教師が異動したか退職したか、事情はよくわかりません。ときに指導が生徒本人や保護者の反感を招き、苦情でつぶされる教師もいますから、「強い指導」を安全のために避けたがる気持ちはわかりますが、現状はとても惨憺たるものになっています。
服装指導が甘くなっている現状について、最も喜んでいるのは誰でしょうか?
このブログをちょくちょくご覧になっていただいている方には、簡単に予想できる問題ですね。
服装指導など、だれも好きこのんでやりたがる類のものではありません。
生徒に嫌われるのを避けるため、「生徒指導部ではないから」などという理由で、担任であっても指導できない教師がいます。こういう教師は、「指導できない」と見られるプレッシャーをいつも持っていますから、指導しない教師がまわりに増えれば増えるほど、気が楽になって生き生きし始めます。
子どもも教師も生き生きする、「いい学校」の女子たちが、みんな自主的に晒し者になっていくわけです。
スカート丈と相関がとれる学校情報・生徒情報とは何でしょうか。文化人類学者にでも分析してもらいたいものです。
さて、授業では、教師の発問の意図が非常に不明確であり、それが原因で生徒が発言できないでいるケースをよく目にします。
こういうとき、教師は発問に手を加えることで、発言を促すようにするのですが、それがますます混乱を招く場合も多い。何に答えたらよいのか、子どもがどんどんわからなくなってくる。
過去にも述べましたが、私はこれを「北風発問」と呼んでおり、反対にどんどん答えや新しい問いを生む「太陽発問」力を磨くことを心がけているわけです。
発問し、生徒が答えたらそれで終わり、ではなく、発言内容を要約したり、要旨を確認したり、そこから新たな問題を促すコメントを入れたりと、対話になっていく形が「太陽発問」になる一つの条件です。理解を促し、理解を深めるだけでなく、わからない部分というのがあることをわからせる。それが発問のねらいです。
教師の逆コンピテンシーとして、時間内に単元の指導を終わらせるために、生徒の理解度をいっさい確認せずに、一方的に授業を進める人がいます。
自分は「ああ、時間内に終わった」と満足しているのですが、子どもたちが消化不良のまま、おいていかれている。しかし、教師が満足そうなので、それでいいのだと勘違いし、学力がつかないことが常態化する・・・・。これもよくあるケースでしょう。
指導力ではなくて、「時間内に終わらせる」発表力でしかありません。
【試験問題】 生徒が意味を取り違えることのない明確な発問をするために、あなたが心がけていることは何ですか。その発問が明確であると言える根拠もあわせて述べなさい。
【試験問題】 あなたの隣のクラスの担任は、服装や生活態度の指導をほとんどしません。そのため、あなたのクラスの生徒が、さまざまな不満をぶつけてくるようになってきました。「どうしてうちのクラスだけ厳しいの?」こういう声に対して、あなたならどのような指導を展開しますか。
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