未成年保護のためのアクセス規制~携帯官製不況?~
2月4日発行の日経ビジネスに、「携帯官製不況」と題した記事が掲載されています。
これは、総務省が青少年の保護を目的に「有害サイトアクセス制限」を義務づけたため、災害情報やいじめ相談など、多くの有益なサイトにもアクセスできなくなる問題を取り上げたものです。
コンテンツ事業者は、管理コスト増(サイト内書き込みの24時間監視の人員を増やすなど)と広告収入減というダブルデメリットに見舞われ、「ケータイ不況」とも呼べる状況が訪れかねないとしています。
「たかが未成年への制限なのに・・・」と思って記事を読み進めていくと、3000円以上のパケット代を払っているのは年代別で19歳以下が最も多い(割合が約50%。30歳代は30%に満たない。)ということでした。携帯コンテンツ市場は、未成年が牽引しているわけです。
教師や保護者の立場としては、総務省の決断によって、出会い系サイトを介した売春や、ブログサイトでの誹謗中傷、いじめなどから子どもを守ることができると評価したくなるような感覚でいましたが、健全なサイトまで閲覧ができなくなると、「携帯の便利さ」が失われ、子どもにとって「意味がない」道具になってしまうおそれもあるということです。
「そこまでやってくれるなら子どもに買ってあげてもよい」という認識の親は少数派で、ほとんどの親は携帯を使って1日何時間くらい何をしているか、把握していないのではないかと思うことがあります。
赤ん坊へのおもちゃと同じで、携帯を与えればおとなしく邪魔もしなくなるメリットはありますが、学習時間の減少など、勉強嫌いの子どもにはますます勉強から遠ざけてしまうデメリットをもつのが携帯です。
本来は契約者である親が責任をもつべきことを、総務省は規制の義務化という「戒厳令」によって保護する手段に出ました。これでますます親の責任回避性向が高まるかもしれません。

« 次の学習指導要領のねらい | トップページ | 地球で最高の学校? »
「教育」カテゴリの記事
- 教員になりたての人がすぐ辞める理由(2019.01.12)
- 教育は「願ったもの勝ち」「言ったもの勝ち」ではない(2019.01.08)
- 「一人も見捨てない」は罪な要求である(2019.01.04)
- 列で並ぶこと自体が好きな?日本人(2019.01.01)
この記事へのコメントは終了しました。
トラックバック
この記事へのトラックバック一覧です: 未成年保護のためのアクセス規制~携帯官製不況?~:
» 未成年への携帯フィルタリング [よたよたあひる’S HOMEPAGE]
昨年12月に総務省から携帯各社へ、未成年の携帯電話契約時には、原則としてフィルタリングを義務化するよう要望が出されました。詳しくは↓をごらんください。http://www.soumu.go.jp/s-news/2007/071210_4.html<青少年が使用する携帯電話・PHSにおける有害サイト...... [続きを読む]
コメント