「子どもは公立に預けるな!」その3
公立をひとくくりにすると、どんどん新設されている中高一貫校はどうか。
以前にふれたとおり、公立の中高一貫校は「ゆとり教育」の充実とセットで設置が構想されたものですから、和田秀樹の主張にしたがうと「薦められない」学校に含まれることになります。
TVで放映されたインタビューでも、「進学のため」というよりは、「高校のときに受験がなくてすむから選んだ」という子どもの素直な動機が報道されていました。
こういう学校の場合、塾に通い、高校段階で進学実績のより私立高校に受験したくなる生徒が出てくるかもしれません。それについてはここでは触れませんが、学校側にとっては定員管理の難しい問題です。
著書で和田秀樹は、「進学実績のデータがないから態度は保留」としています。
国立はどうか。
国立の中には地方だと附属高校がなかったり、都内だと小学校から上がってくる生徒が多くて定員が少ないために難関だったり、小学校からは学力が高くない生徒が多く進学するので大学進学実績はたいしてよくないなどの理由があって、和田の理念から言うと薦められなくなるようです。
なぜ「学歴」が必要になるかについて和田は、前回紹介したように、「これから学歴社会になること」「より厳しい競争社会になること」が根拠のようです。
和田は教員批判をしていませんが、「競争原理の排除」を訴える教師がいる公立学校には絶望しています。
子どもにどこまで「競争力」を求めるか。議論が必要なところです。
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