『学校の絞め殺し学』最終回~通いたい学校像のギャップをどうするか~
弘中勝著『会社の絞め殺し学~ダメな組織を救う本~』(祥伝社黄金文庫)風に,学校を絞め殺す問題の数々を考えてきましたが,残るは「本物の品質を目指そうとしない」問題,「安易な集客(生徒集め)に走ってしまう」問題,「教育の成果に理念を持たない」問題,「お願いの時だけしか擦り寄らない」問題,「おすすめ力」を持たない問題などです。
これらは「どういう学校をつくるか」という教師の考えと,「どういう学校に通いたいか」という子どもや親の考えの間の距離を理解する上で参考になります。
安易な集客のための努力をせざるを得ない学校がいかに多いか。
中学校・高校にはわずかな部費で入れる「スポーツクラブ」があり,それで大会まで開かれるので,学業とそっちと,どっちが大事なの?と問いたくなる生徒と教員,保護者がたくさんいます。私企業である学校は昔から堂々とやっていますが,希望者がみんな私立に入れるわけではありません。
公立学校では教育課程の編成でどんなに頭をしぼっても,その枠の中にない部活動というものが,子どもからも親からも非常に強く期待されるものになっているにもかかわらず,いつまでたっても制度的にその要請に応える準備ができていません。
理念と現実のギャップは教育現場では数限りなくおこっていますが,部活動に関していうと,そこにトラブルという第三の難題もかぶってきて,終わりのない頭痛の種です。
ただ,教員が高齢化していること,指導者がいないこともありますが,生徒の方もスポーツより遊びを優先して活動に参加しない,・・・こういう循環で公立学校の部活動が不活発になっていくのは,良い結果なのでしょうか。都合がいいことだと割り切ることができるでしょうか。荒れている学校の現場に行くと,○○大会ベスト4!など,部活動の成績を玄関などに大きく掲げ,生徒の健闘をたたえていることが多いのですが,徐々に垂れ幕の数が減っていき,気が付いたらその部はもうなくなっていた,ということもある。
部活動は,教育課程の弾力化だけでは対処のしようがない中学校・高等学校特有の問題です。学力向上課題の影に隠れてしまいますが,相乗効果がねらえる改善策を提言していきたいものです。
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