ピンポイントアドバイスの極意
戦場は臨機応変の場である。敵も必死であり,詐謀が盤渦している場でもある。長とよばれる者は,将軍のみじかい命令に従えばよいというのではなく,その命令をおのれの言語にかえて活かす工夫をしなければならない。…長くてくどい命令は属将の発想をしばり,将器の拡大をさまたげる。
参考 「楽毅」第四巻(宮城谷昌光著)新潮文庫
281頁
教師の失敗-55
ピンポイントアドバイスが苦手である
管理職や主任レベルの人間に指導を受けず,
マイウェイで実践しながら力量を向上させていく
教師も多くいます。
ただし,当然の話ですが,「どこか抜けている
な」というところがあるのがこのタイプの教師の
特徴です。
教師は,わざわざ口に出さずに他の教師の
フォローをする場面がたくさんあります。
フォローを尻拭いだといって嫌う者もいますが,
たいていはこのフォローのおかげで生徒との
関係は持続し成立するものです。
指導力のない教師の「指導」はたいてい
「くどい系」か「投げやり系」です。
こういう教師の「指導」では,受ける側の自己
教育力は伸びません。
問題をおこす前も後も,教師だけでなく生徒の
方でも一人の人間にかかわっていられる時間は
決して多くはありません。
小さな声かけの運動でも,問題行動の発生を
防止できる効果があることは知られています。
短いアドバイスとその効果の研究をしている
学校はあるでしょうか。
管理職から教師へ,教師から教師へ,教師から
生徒へ,どんな一言が相手の行動を活性化させ
られるのでしょうか。
考えていきたいテーマの一つです。
私が心がけていたのは,声かけの後,子どもの
表情の変化を見逃さず,その変化にこちらも応え
てあげたことです。成功と失敗を分けるのは,たい
ていはタイミングの問題でした。
声かけは失敗もありますが,目を離さず失敗に
気付き,失敗を失敗で終わらせないのが,教育
失敗学の目指す指導像です。
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