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8 障害のある生徒の指導(第1章第4の2(8))

8 障害のある生徒の指導(第1章第4の2(8))

( 8 ) 障害のある生徒などについては, 特別支援学校等の助言又は援助を活用しつつ, 例えば指導についての計画又は家庭や医療, 福祉等の業務を行う関係機関と連携した支援のための計画を個別に作成することなどにより, 個々の生徒の障害の状態等に応じた指導内容や指導方法の工夫を計画的, 組織的に行うこと。特に, 特別支援学級又は通級による指導については, 教師間の連携に努め, 効果的な指導を行うこと。

  平成18年に学校教育法が改正され,従来の盲・聾・養護学校は,障害の重複化等ろう
に対応した適切な教育を行うため,平成19年度から,複数の障害種別を教育の対象とすることのできる「特別支援学校」に転換された。特別支援学校は,障害のある児童生徒等に対して,中学校等に準ずる教育を行うとともに,障害による学習上又は生活上の困難を克服し自立を図るために必要な知識技能を授ける教育を行う(同法第72条)ほか,中学校等の要請に応じて,中学校等に在籍する障害のある生徒の教育に関し必要な助言又は援助を行うよう努める(同法第74条)ものと規定された。
 また,幼稚園,小学校,中学校,高等学校等において,障害のある児童生徒等に対し,障害による学習上又は生活上の困難を克服するための教育を行うこと(同法第81条第1項)が規定された。このように,特別支援教育については,大きな制度改正がなされたところである。
 中学校には,特別支援学級や通級による指導を受ける障害のある生徒とともに,通常の学級にもLD(学習障害),ADHD(注意欠陥多動性障害),自閉症などの障害のある生徒が在籍していることがあり,これらの生徒については,障害の状態等に即した適切な指導を行わなければならない。
 今回の改訂では,障害のある生徒の指導に当たっては,特別支援学校等の助言や援助を活用すること,個々の生徒の障害の状態等に応じた指導内容や指導方法の工夫を計画的,組織的に行うことなどが新たに加わった。
 障害のある生徒を指導するに当たっては,まず,生徒の障害の種類や程度を的確に把握する必要がある。生徒の障害には,視覚障害,聴覚障害,知的障害,肢体不自由,病弱・身体虚弱,言語障害,情緒障害,自閉症,学習障害,注意欠陥多動性障害などがある。
 次に,個々の生徒の障害の状態等に応じた指導内容・指導方法の工夫を検討し,適切な指導を計画的,組織的に行わなければならない。例えば弱視の生徒についての保健体育科における球技の指導や理科等における観察・実験の指導,難聴や言語障害の生徒についての国語科における音読の指導や音楽科における歌唱の指導,肢体不自由の生徒についての保健体育科における実技の指導や技術・家庭科における実習の指導など,それぞれに個別的に特別な配慮が必要である。また,読み書きや計算などに困難があるLD(学習障害)の生徒についての国語科における書き取りや数学科における計算の指導,外国語科における読み書きの指導など,教師の適切な配慮等により対応することが必要である。さらに,ADHD(注意欠陥多動性障害)や自閉症の生徒に対して,話して伝えるだけでなく,メモや絵などを付加する指導などの配慮も必要である。
このため,特別支援学校や医療・福祉などの関係機関と連携を図り,障害のある生徒の教育についての専門的な助言や援助を活用しながら,適切な指導を行うことが大切である。指導に当たっては,例えば,障害のある生徒一人一人について,指導の目標や内容,配慮事項などを示した計画(個別の指導計画)を作成し,教職員の共通理解の下にきめ細かな指導を行うことが考えられる。
 また,障害のある生徒については,学校生活だけでなく家庭生活や地域での生活も含め,長期的な視点に立って幼児期から学校卒業後までの一貫した支援を行うことが重要である。このため,例えば,家庭や医療機関,福祉施設などの関係機関と連携し,様々な側面からの取組を示した計画(個別の教育支援計画)を作成することなどが考えられる。
 このような指導は,特別支援学校や特別支援学級で行われてきており,それらを参考とするなどして,それぞれの学校や生徒の実態に応じた指導方法を工夫することが効果的と考えられる。
 さらに,担任教師だけが指導に当たるのではなく,校内委員会を設置し,特別支援教育コーディネーターを指名するなど学校全体の支援体制を整備するとともに,特別支援学校等に対し助言又は援助を要請するなどして,計画的・組織的に取り組むことが重要である。
 特に,本章第2節3にあるように,特別支援学級は,障害があるために通常の学級における指導では,十分に指導の効果を上げることが困難な生徒のために編制された少人数の学級であり,生徒の障害の状態に応じて,適切な配慮の下に指導が行われている。特別支援学級は,中学校の学級の一つであり,特別支援学級も通常の学級と同様,これを適切に運営していくためには,すべての教師の理解と協力が必要である。学校経営上の位置付けがあいまいになり,学校組織の中で孤立することのないよう留意する必要がある。このため,学校全体の協力体制づくりを進めたり,すべての教師が障害について正しい理解と認識を深めたりして教師間の連携に努める必要がある。
 また,通級による指導は,特別支援学級とは別に,中学校の通常の学級に在籍している障害のある生徒に対して,特別の指導の場(通級指導教室)において,障害に応じた特別の指導を行うものである。対象となる生徒に対する通常の学級における指導と通級による指導とが共に効果的に行われるためには,それぞれの担当教師同士が生徒の様子や変化について定期的に情報交換を行い,特別の指導の場における指導の成果が,通常の学級においても生かされるようにするなどして連携に努め,指導の充実を図ることが重要と言える。さらに,他校において指導を受ける場合には,学校間及び担当教師間の連携の在り方を工夫し,情報交換等が円滑に行われるよう配慮する必要がある。
 障害のある生徒の指導に当たっては,特に教職員の理解の在り方や指導の姿勢が,生徒に大きく影響することに十分留意し,学校や学級内における温かい人間関係づくりに努めることが大切である。
 なお,学習上の配慮を要する生徒については,生徒の実態に応じたきめ細かな指導をするよう配慮する必要がある。

*中学校学習指導要領解説 総則編(平成20年9月) 第5節 教育課程実施上の配慮事項より 

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宮城谷昌光の言葉

  • 雲のうえに頂をもつ高山を登ろうとするのに、その山相のすさまじさに圧倒され、おじけづいていては何もはじまらない。最初の一歩を踏み出さねば、山頂は近づいてこない。
    「楽毅」第四巻より
  • みごとなものだ。斂(おさ)めるところは斂め、棄てるところは棄てている。楽氏が棄てたところに、われわれの生きる道がある。
    「楽毅」第四巻より
  • 去ってゆく千里の馬を追っても、とても追いつかぬぞ。千里の馬の尾をつかむには、その脚が停まったときしかない
    「楽毅」第四巻より
  • ・・・つくづく人のふしぎさを感じた。道を歩く者は、足もとの石をたしかめようとしないということである。千里のかなたを照らす宝石がころがっていても、気がつかない。それほどの名宝は深山幽谷に踏みこまなければ得られないとおもいこんでいる。
    「楽毅」第三巻より
  • この城をもっとたやすく落とすべきであった。たやすく得たものは、たやすく手放せる。
    「楽毅」第二巻より
  • なにかを信じつづけることはむずかしい。それより、信じつづけたことをやめるほうが、さらにむずかしい。
    「楽毅」第二巻より
  • からだで、皮膚で、感じるところに自身をおくことをせず、頭で判断したことに自身を縛りつけておくのは、賢明ではなく、むしろ怠慢なのではないか
    「楽毅」第二巻より
  • こうする、ああする、といちいち目的と行動とを配下におしえつづけてゆけば、配下はただ命令を待つだけで、思考をしなくなる。この四人はいつなんどき多数の兵を指揮することになるかもしれず、そのときにそなえて自立した思考力をもつ必要がある。
    「楽毅」第二巻より
  • 人は自分の存在を最小にすることによって最大を得ることができる
    「楽毅」第三巻より
  • 勇と智とをあわせもっている者は、攻めるときよりも退くときに、なにかをなすときより、なにもなさないときに、その良質をあらわす
    「楽毅」第二巻より